そんな時期、和歌山県のある中学校のクラスに出された給食に異物が混入され、生徒26人中24人が体調不良を訴える事件が発生した。
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当時の新聞などによると、『グリコ森永事件』などによる混乱がようやく落ち着いた1985年11月、出された給食のけんちん汁を食べた生徒が次々と喉や舌の痛みを訴えたという。診察にあたった医師が調べたところによると、命に別条はないが、問題のけんちん汁を食べた生徒のほとんどが喉の炎症を起こしていた、との事であった。
奇妙なのは炎症を起こしたのが、生徒全体ではなくひとクラス分だけだった事。そして後日、問題のけんちん汁からは黒い粉のようなものが発見されたのだ。やがて、「給食に薬を混入した」として同クラスの女生徒3人が容疑者として名前が挙がった。女生徒3人によると、黒い粉の正体は市販の便秘薬だと言い、丸々ひと瓶、50錠ほどをすりつぶし、けんちん汁に混入していたという。
彼女が便秘薬を混ぜた動機は、授業を休み保健室にいたことを同クラスの男子数人に「サボっている」と言いふらされたため復讐しようと思い、給食混入を思いついたという。
最初は自宅で殺虫剤やのり、シャンプーなどを混ぜたものを試作したが、殺虫剤は臭いが強くバレてしまう事から諦め、その次もニュース番組で見たパラコート(除草剤)を混入する事を考えたが、これも中学生には手に入らずに諦めた。仕方なく、薬局で中学生でも簡単に購入する事のできた便秘薬をすりつぶして粉状にしたものを混入したという。
『グリコ森永事件』は日本中に大きな影響と衝撃を与えた事件だったが、その余波は中学生にも及んだようだ。