アレシボ天文台は1960年代に建設された施設で、トレードマークの巨大電波望遠鏡は窪地を利用して直径305メートルの反射面の上に、受信機が3基の塔からケーブルでつり下げられる構造になっていた。1974年に改装されたことを記念して、地球から約2万5000光年の距離にあるヘルクレス座の球状星団M13に向けて初の地球外知的生命体へのメッセージ「アレシボ・メッセージ」が発信されたことで有名だ。
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しかし、近年では老朽化も進み、2017年のハリケーン「マリア」と2019、2020年に立て続けに起きた2度の地震によって望遠鏡や、受信機を支えるサポートケーブル2本が損傷。同年12月1日深夜にケーブルを支える部分が壊れ、重さ約900トンの受信機が約140メートルの高さから主鏡の上に落下し崩壊してしまった。2020年11月の段階で将来的な電波望遠鏡の解体が決定されていたが、それよりも先の出来事だった。
かつてハリウッド映画にも登場し、地球外知的生命体探査の代名詞ともなっていたアレシボ天文台の今後はどうなるのか。2021年にワンダ・バスケス・ガルセド知事は、望遠鏡の再建がプエルトリコの正式な方針になる、という新しい行政命令に署名。「プエルトリコ政府は、公共政策の問題としてアレシボ電波望遠鏡の再建とアレシボ天文台での世界クラスの科学と教育の迅速な再開に確信を持っている」と発言していた。
しかし現在、主に再建コストの問題と、他のレーダー施設でもアレシボの電波望遠鏡と同様の調査研究が行えることから、電波望遠鏡の再建は行われない見込みであることが明らかになった。アレシボ天文台のプロジェクト専用で既についていた資金は、新たな教育センターの建設に向けられるとのことだ。
世界で最も知名度の高い電波望遠鏡の一つがこのような最後を迎えることになったのは残念なこととしか言いようがない。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
関連動画
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