「3-4」と楽天1点ビハインドの9回裏。この回楽天はオリックス守護神・平野佳寿を攻め無死一、二塁としたところで主砲・浅村が打席に入る。ワンヒットで同点、長打ならサヨナラもあり得る場面だったが、浅村はここで送りバントを敢行。1球目のフォークを見送り、2球目のストレートにバットを出すも結果は捕邪飛となった。
楽天はその後代打・茂木栄五郎(空三振)、銀次(見三振)が連続で三振を喫し2者残塁・無得点で敗戦。浅村のバント失敗から反撃ムードが一気にしぼんだ形となったが、試合後に取材に応じた石井一久監督は「あそこは自分でやったのかな」、「自分で決断してトライしてくれたことはとやかく言いづらい」とベンチの指示ではなく自己判断だったと説明したという。
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浅村のバントについては、ネット上にも「楽天入団(2019年~)以降は1回もやってないから本当にビックリした」、「石井がやらせたのかと思ったらベンチの指示じゃないのかよ」、「直前にバントをファンブルした平野の姿を見て閃いたんだろうか」といった驚きの声が寄せられた。
球界では選手が自己判断でバントを行うこと自体は珍しいことではないが、浅村のようなクリーンアップを張るような強打者が仕掛けるのはまれ。また、浅村は今季0回、通算でも45回(2017年の1回が最後)しか犠打を記録していない選手だということもあり、多くのファンから驚きをもって受け止められたようだ。
異例の作戦と注目を集めた浅村のバントだが、一部からは適切な策ではなかったという指摘も上がっている。この日の楽天は9回裏無死一、二塁からは浅村(.252・20本・68打点)、茂木(.218・6本・24打点)、銀次(.290・0本・25打点)、ギッテンス(.250・0本・1打点)という打順の並びだったが、浅村以上に打力のある打者は不在。ネット上には「自分より打てない打者にバントで繋く意味が分からん、チャンスを潰したくないが故の責任逃れにしか思えん」といった意見も散見される。
点差が1点差だったため犠打で1死二、三塁とし、スクイズや犠牲フライといった選択肢を広げたかった狙いがあったとみられる浅村。ただ、慣れない策を繰り出すよりは、自分で打ちに行った方が得点の期待値は高かったのではと首をかしげたファンも少なからずいたようだ。
文 / 柴田雅人