8月24日、神宮球場で行われた広島戦を東京ヤクルトが勝利した。2位DeNAとのゲーム差「4.0」は守られたわけだが、高津臣吾監督が打順を変えてきた。ここ最近、“日替わり”状態ではあったが、主将・山田哲人を6番に下げた。
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「前日の同カードでは、山田はスタメンから外されています。規定打席数に到達した選手の中で、打率成績はワーストですから」(スポーツ紙記者)
山田と言うと、1番や3番のイメージも強い。NPBデータによれば、山田のスタメン6番は2013年10月2日の以来9年ぶり。打順降格は屈辱的ではあるが、プロ12年目のベテランはその役割と指揮官の意図をきちんと把握していた。
昨今、ヤクルト戦のネット裏ではこんなことも囁かれている。
「サンタナが気の毒…」
対戦チームが主砲・村上宗隆との勝負を避けるようになった。
前日23日もそうだったが、村上が四球で歩かされた後、5番・サンタナが凡打や三振を喫し、得点好機を逃してきた。村上と勝負しようとしない状況をボヤく声もヤクルト陣営から聞こえていたが、高津監督は発想を変えたようである。
村上との勝負を回避されない状況を作るのはもちろんだが、5番・サンタナの精神的負担を軽減させるため、その後に主将・山田を置く打順もテストした。
「5回、先頭の村上が四球で歩かされた後、サンタナは三振。山田はレフト線への二塁打を放ち、貴重な追加点が入りました」(前出・同)
20打席ぶりの安打だった。二塁ベース上で笑顔を見せた。その様子から「不振脱出かな?」と期待したが、次の打席では三振。全くタイミングが合っていなかった。
「6番」が気分転換になればいいのだが、こんな指摘も聞かれた。
「山田が出塁し、村上がそれを返す。リリーフ投手の継投で逃げ切るのが本来のスタイルです。今のヤクルトは投打ともに決め手を欠く状態。こういう時、チームの先頭に立つのが主将なんですが」(プロ野球解説者)
試合後、高津監督がポイントに挙げていたのは、山田の適時二塁打の前に出た「村上の盗塁」だった。
「足は決して速くないですけど、すごく積極的。打撃以外のことでも成長しようと、努力を続けているように見える」
村上の盗塁がなければ、山田の二塁打で本塁までは返って来れなかったはず。そう考えると、今のヤクルトは山田ではなく、「村上が精神的にも牽引している」とも解釈できる。
「24日、村上は5打席に立って、2四球、2申告敬遠でした(1打数1安打)。優勝を懸けた終盤戦、走者のいない場面でも村上を申告敬遠するなんて話も聞かれました」(前出・同)
「走者ナシでの申告敬遠」は大袈裟だとしても、同日、2位DeNAと阪神の一戦でも代打登場した選手を申告敬遠する心理戦が繰り広げられたという。
山田を下位に置く打順編成もそうだが、申告敬遠を巡る攻防が興味深い。(スポーツライター・飯山満)