報道によると、17日までに海外FA権を取得した浅村は、同日の日本ハム戦後に応じた取材の中で「まだシーズン中なので今はチームが優勝することだけしか考えていないです。シーズンが終わってからゆっくり考えたい」とコメント。ネット上には「お? 何か権利行使に含みを持たせた言い方じゃないか?」、「もしFA市場に出るならぜひ自分の贔屓球団には動いてもらいたい」とFA移籍を期待するコメントが寄せられた。
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「浅村は西武時代に打点王を2度(2013,2018)獲得した実績を買われ、2018年オフに4年総額20億円(推定)という条件で楽天にFA移籍。楽天入り後も本塁打王(2020)に輝くなど打棒は健在で、今季も17日終了時点で『.256・19本(リーグ2位)・64打点(同)』と一定の数字をマークしていますので、楽天側は4年契約が切れる今オフに残留を要請するものと思われます。ただ、浅村が待遇面が納得いかない、新たな環境に身を置きたいといった理由で、慰留を固辞して権利行使をする可能性も当然ゼロではありません」(野球ライター)
浅村は現球界ではあまり数が多くない二塁を守れる大砲で、侍ジャパンの一員として出場した昨夏の東京五輪などでは本職ではない一塁をそつなくこなした経験を持つ。さらに、年齢も30代前半とまだまだ働き盛りであるため、仮に権利行使なら獲得に動く球団が現れる可能性は十分といえるだろう。
17日終了時点でリーグ5位に沈んでいる阪神は二塁に絶対的なレギュラーがおらず、一塁もマルテ、ロドリゲスら助っ人打者がほとんど機能していないため浅村獲得を検討する余地はある。仮に実現なら大山悠輔、佐藤輝明と共に、12球団トップクラスのクリーンアップが形成され他球団の脅威となりそうだ。
前回のFA時に獲得を狙うも失敗したソフトバンクが再チャレンジする展開も予想される。ソフトバンクの二塁は三森大貴、牧原大成、川瀬晃と人材豊富だが、一塁やDHは中村晃、デスパイネ、グラシアルといったベテランが衰え気味。また、4年前から右の大砲不足に苦しんでいる状況はあまり変わっていないため、今度こそと再び獲得に動く価値は十分といえる。
さらに、新庄剛志監督がFA補強に色気を見せている日本ハムも浅村獲得に名乗りを上げそうな球団の1つ。各報道によると新庄監督は足の速い選手、長打力のある選手、安定して試合を作れる先発投手の3点を補強ポイントと考えているそうだが、浅村は長打力のある選手としてうってつけの存在。本拠地が新球場に移転する来季に向けた目玉補強として白羽の矢を立てても不思議ではないだろう。
今季は7月31日までの期限にトレードが3件のみとシーズン中の戦力変動が乏しかったからか、ファンの中にはその分オフのストーブリーグが盛り上がってほしいと願う声は少なくない。浅村は仮に移籍ならストーブリーグで一番の話題となることは濃厚なクラスのスター選手だが、果たして今オフに動きを見せることはあるのだろうか。
文 / 柴田雅人