オールスターゲームは大いに盛り上がっていたが、試合前はちょっと不穏な空気も漂っていた。選手たちが球場に向かう前の午前中、オンラインによる労組・日本プロ野球選手会の臨時大会が開かれたのだ。
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「主テーマは今季中の実施をめざしている『現役ドラフト』だったんですが…。まさか、このタイミングでフリーエージェント(以下=FA)の話を持ち出して来るとは思いませんでした」(球界関係者)
この臨時大会後、選手会側との調整役も務めている広島の鈴木清明・球団本部長が「コメントを出す」と聞いていた。近年、選手会と12球団経営者サイドは、良好な関係が続いていた。
しかし、「FA権取得期間の短縮の話も出ましたが?」と質問された途端、鈴木本部長の表情が一変した。
「今はコロナの状況もあって大変な時期。権利を主張する時期かな、というのは言っておきたい」
選手会はFA権取得の年数短縮を求めてきた。「国内8年(一部7年、以下同)、海外9年」となっているが、それを国内外ともに「6年」に短縮してほしいと訴えてきた。また、国内FA選手を獲得した球団側に発生する「補償制度の撤廃」も求めてきた。現在は145日の一軍登録日数を以って「1年」としているか、それも短縮してほしいと言う。
これらの要求に対し、鈴木本部長は「(コロナで)試合数が減っても、コロナに感染しても、特例などでFA日数は加算してきた」と言い、コロナ不況下でも選手側に配慮してきたことも伝えていた。
「選手会の要望に対し、12球団側はいったん持ち帰って、協議してから回答するスタンスでした。12球団側がここまで強く、即反論するのは珍しいこと」(ベテラン記者)
よほどカチンと来たのか?
鈴木本部長は終始、冷静な口調で答えていた。しかし、こんな声も聞かれた。
「球団側からすれば、『6年』でのFA取得は短すぎます。選手会サイドは、国内外ともに8年、もしくは1年ずつの短縮を落としどころにしているのでは。最初に厳しい内容を伝えて、確実に期間短縮を勝ち取ろうとしているのでは」(前出・球界関係者)
話し合いの余地はありそうだが、タイミングが悪すぎたようだ。
今後、選手会と経営サイドが衝突する可能性も出てきた。
「清宮はヤクルト・村上宗隆と同学年です。でも、プロ入り後は立場が逆転してしまいました。プロ2年目でレギュラーを掴んだ村上に対し、清宮はケガもあって一軍に定着すらできませんでした。今年のオールスターゲームでようやく、晴れ舞台に立つことができたと言うか…」(前出・同)
清宮、村上は今季5年目。「6年」でFA取得となれば、球団は慰留説得を始めなければならない時期となる。日本ハムは「ようやく一人前になったのに」の心境だろう。(スポーツライター・飯山満)