惜しまれるのは初戦を落とした2戦目。エース今永昇太を立て必勝を期したが初回からコントロールが安定せず、ツーベース、フォアボール、ワイルドピッチと今永らしからぬピッチングで先制を許してしまう苦しい立ち上がり。再びタイガースの1番から始まる3回にも、中野拓夢、近本光司の俊足コンビにかく乱されて追加点を献上すると、5回までで101球を要し、ここまででマウンドを降りる結果となった。「後半戦につなげるような投球がしたい」と意気込んだマウンドだったが「初回に得点を許しいつもと同じ失敗をしてしまったので、ブルペンからの準備の仕方などを見直したいと思います」と本人もうなだれる内容となってしまった。
気になるのが6月7日にノーヒットノーランを達成してからのピッチング。そこまで5試合で3勝、防御率1.25、全試合でクオリティスタートを達成するなど目覚ましい数字を残していたが、それ以降は6ゲームで1勝3敗とペースダウン。クオリティスタートも2回で、防御率は4.54とエースとしては厳しい内容と言わざるを得ない。しかも前々回まではすべてカードのアタマを任されていたが、前回からはカード2戦目に変更。結果的に他球団のエースとの対決を避け、今永で確実に勝ち星を挙げていくように見えるローテーションの中での今回の完敗は、チームにとっては痛手だった。
とはいえ実力、成績、経験そして言動も含めエースとしてチームには欠かせない左腕。それだけ大きな存在だけに、後半戦の反撃に向け“投げる哲学者”の異名を取る今永昇太がローテーションの軸として君臨すれば、借金返済から一気に貯金を増やしていくことも可能になるに違いない。
写真・取材・文 / 萩原孝弘