ジャニー氏は、履歴書に封入されている写真1枚で10年後に光り輝く少年になるかを見極める才に長けていた。しかし、入所した素人の男児がのちにジャニーズJr.になってデビューしても、褒めることはほぼしなかった。そんななか、晩年ではあるものの「ボクはYOUたちのファンだよ」と本人に直接伝えたグループがいる。A.B.C-Z(橋本良亮、戸塚祥太、河合郁人、五関晃一、塚田僚一)だ。
>>ホラン千秋を骨抜きにしたジャニーズ? 共演時に炸裂した必殺の褒めゼリフとは<<
呼称・エビは、アクロバットボーイズクラブが由来とあって、ダンススキルがピカイチ。特に五関はコレオグラファー(振付師)としての経験も豊富で、長年ジュニアのダンスインストラクターを務めているSANCHE氏さえ一目置く存在だ。
デビューした12年から、メンバーそれぞれが単独で座長を務める舞台「ABC座」をスタートさせた。14年と17年は作・構成・演出をジャニー氏、15年と16年は錦織一清が演出を担当。ジャニー氏が逝去した19年は滝沢秀明副社長が演出し、KinKi Kidsの堂本剛が楽曲提供。21年は、滝沢氏から指名されてA.B.C-Zが初めて演出も兼務した。
フィクション性をなくした17年の公演のとき、ジャニー氏は「ボクが見てもうそがないストーリーだよ」と初めて褒めた。そして、「ファンである」ことを告げている。
「世界中のあらゆるエンターテイナーを生で観てきたジャニーさんが直接褒めることは、きわめてまれ。エビの大きな活力になったのですが、のちにジュニア時代からのライバルだったKis-My-Ft2にも同じことを言っていたことを知り、ちょっと落胆したそうです」(アイドル誌のライター)
1980年代、ジャニー氏は少年隊の前で近藤真彦を称賛し、近藤には少年隊のことを褒めちぎった。ライバル心をあおりたてることで、双方の才能を伸ばそうとしたのだ。対して、生意気な子が目立ったSMAPには、しょっちゅう灰皿を投げて怒鳴りつけていた。30代から40代のころは必死。タレントを一流にすることに心血を注いだのだ。
病床に伏せる直前、河合はおよそ四半世紀にわたるジャニーズ人生で初めて、「YOUはおしゃべりも面白い」とピンで褒められた。ニュース・情報番組のレギュラーコメンテーターにもなった河合の活躍を、天国から喜んでいるに違いない。
(伊藤由華)