復帰後最初の打席、2点ビハインドの場面ではボールを良く見極めフォアボールをゲット。5回のワンアウト一、三塁のチャンスには、ジャイアンツ先発・戸郷翔征の投じた147キロのインコースのストレートをタイムリーツーベースヒットに。この回一挙5得点のビッグイニングの起点となる貴重な一打だった。7回は吉川尚輝の打球にダイビングキャッチを試み、惜しくもボールはグラブからこぼれツーベースにしてしまったが、スタジアムからは激励の拍手が自然発生した。
27日にはここまでわずか1安打と打ち崩せずにいたジャイアンツ先発・CCメルセデス相手に5回、レフトへクリーンヒット。守備でも0-6と劣勢の9回の場面で、坂本勇人のセンターを襲った打球に対し臆せずダイビングキャッチでアウトにするなど、試合展開に関係なく緊張感を保ちプレーしている姿は、昨年5月にフライを打ち上げ全力疾走を怠ったプレーを胸に刻んでいる証でもあろう。
三浦大輔監督も桑原に「クワが塁に出ると盛り上がるムードメーカーでもあります。打線に勢いをつける意味でもリードオフマンに最適」と復帰後すぐに1番センターで起用した理由を説明。チームになくてはならない存在だと示唆していた。
ここまで打率は.234と、昨年の.310と比べると低いが、得点圏打率は.429と勝負強さを発揮。魅力は初球から振っていく積極打法ながら、フォアボールもすでに7つ選んでおり、盗塁も3個と走力でもアピール。チームの長打以外での得点に貢献している。守備でも球界屈指の守備範囲と球際の強さで、チーム内のライバルとはアタマ一つ抜けている印象だ。
昨年末はFA取得前に4年契約を結び「恩返ししたい」とフォア・ザ・チームを誓った桑原将志。進化したガッツマンは、諦めない姿勢と泥臭さでチームを引っ張る。
取材・文・写真/ 萩原孝弘