その内容は珍しい列車・電車や風景を目的とし、ホームが人に殺到して一般客に迷惑をかける、撮り鉄同士で喧嘩を始める、立入禁止区域に入って運行を妨害するなど、さまざまだ。
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4月2日には、東京・八王子駅で旧国鉄時代の塗装のE653系の特急「いわき」を撮影しようと、ホームに撮り鉄が殺到し、30人以上が集結しもみ合いとなる。そして、黄色い点字ブロックを出て撮影しようとしていた撮り鉄の男性1人が、ホームに転落した。幸い落ちた男性に怪我はなかったが、一歩間違えば死亡事故にもなりかねない事態だった。
このような事件はもちろん、大きく報道されていない事件性のない迷惑行為も多く、SNS上では撮り鉄の規制論が浮上している。ホームでカメラを構える行為の禁止などが視野に入っているが、なかなか進んでいないのが現状だ。
なぜ撮り鉄を規制できないのか。鉄道営業法42条には
左ノ場合ニ於テ鉄道係員ハ旅客及公衆ヲ車外又ハ鉄道地外ニ退去セシムルコトヲ得
一 有効ノ乗車券ヲ所持セス又ハ検査ヲ拒ミ運賃ノ支払ヲ肯セサルトキ
二 第三十三条第三号ノ罪ヲ犯シ鉄道係員ノ制止ヲ肯セサルトキ又ハ第三十四条ノ罪ヲ犯シタルトキ
三 第三十五条、第三十七条ノ罪ヲ犯シタルトキ
四 其ノ他車内ニ於ケル秩序ヲ紊ルノ所為アリタルトキ
と定められており、駅や鉄道用地にみだりに立ち入る(第三十七条)などの迷惑行為があれば合法的に係員が敷地外に退去させることは可能である。また、「カメラを持っている人物は入場禁止」とすることについても、鉄道を管理する会社が権利を行使し、「カメラを持ってのホーム立ち入りは禁止」とすれば、撮り鉄を一掃することはできるだろう。
しかし、立入禁止とすると、善良な撮り鉄までもが規制を受けることになる。鉄道会社としては、鉄道を愛し乗車券やグッズを購入してくれるファンを逃したくないと意識があるものと見られる。
現状では批判の声がありながらも、撮り鉄の存在を事実上許可している鉄道会社だが、今後凶悪な事件が立て続けに起これば、「禁止」に舵を切る可能性も否定できない。