しかし、その勢いを掴むチャンスはあった。なのに、そのチャンスを潰しているような気がしてならない。
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4月19日、DeNA戦。ビジター6連戦の初戦を落としてしまった。それも、逆転で…。今季はまだビジターゲームでは1勝も挙げていない。10戦全敗だ。矢野燿大監督は試合後、「(投打が)かみ合っていないんでね」と言ったが、確かにその通りである。
阪神情報に詳しい関西在住のプロ野球解説者も、同試合をこう評していた。
「序盤戦で4得点を挙げました。12球団で最も安定している西勇輝が先発したのに、逆転負け。西の後を引き継いだ救援投手陣がゼロに抑えたのに、打線は序盤と打って変わって全然打てなくなってしまいました」
同試合が21試合目。試合開始前のデータだが、阪神打線の1試合平均の得点は「2・35」。また、登板する前の西は、防御率は0・40。12球団トップだった。
平均以上の得点を挙げ、12球団トップの安定感を誇る投手が投げたのに、勝てなかったのだ。
「調子が良くない時の西は、味方打線が得点を挙げた直後に失点する傾向があるんです」(前出・プロ野球解説者)
問題は9回表の最後の攻撃だろう。
先頭打者が四球を選んだ。梅野隆太郎を代打投入したが、矢野監督が出したサインは「送りバント」。1点ビハインドの場面であり、「手堅く走者を二塁に進め、まずは同点」と考えたのだろう。
間違いではないが、こうも解釈できる。今の阪神に「正解」は必要ない。チームを勢いづけるため、強気にエンドランを仕掛けても良かったのではないか、と。
「負けが込んでいる時は、手堅い作戦になりがちです。矢野監督の気持ちも分かりますが、梅野がバントを失敗した時点で『敗戦』が決まったような雰囲気になりました」(前出・同)
「チームの勢い」については、矢野監督も意識しているはずだ。主砲・佐藤輝明を「2番・三塁」で起用している。3試合連続であり、その佐藤が最終打席で三塁打を放っていれば、サイクル安打が達成となっていた。その佐藤が慎重に四球を選んだ姿勢は立派だが、「ボール球でもいいから打って来い」のエールもなければ、記録達成とならなかったガッカリのため息も聞かれなかった。
「投打がかみ合っていない」どころか、みんなバラバラだった。
「佐藤は四球を選んだ後、二塁盗塁を成功させました。DeNAバッテリーが『佐藤が走るわけがない』と無警戒になったんです。それをベンチが見逃しませんでした」(球界関係者)
佐藤に盗塁をさせた意図を聞くと、「チームを勢いづけるため」(同)だったという。
9回最後の攻撃だけ、手堅い作戦に出たのはなぜだろうか。
「まるで、電話番号…」
そんな声も囁かれていた。球団事務所のある西宮市の市外局番は「0798」(一部地区除く)。タイガースの勝率は、21試合を終えて「0150」(1割5分)。「0167」までの北海道脱出はいつになるのか? (スポーツライター・飯山満)