「9回のマウンドに上がっていたら? 対戦するバッターは7、8、9番の下位打線なので記録達成の可能性はあったと思います。でも、この日の佐々木は調子が良くなかったんです。球速は160キロ台を連発していましたが、シュート回転していましたし、フォークボールの落ち方もイマイチでした」
投手出身のプロ野球解説者がそう言う。
>>ロッテ・佐々木に致命的な問題、球界OBの指摘に「着眼点が違う」感心の声 本人も深刻さを自覚していた?<<
それでも日本ハム打線を抑え込んでいたのだから、「佐々木はスゴイ」とも言える。だが、“途中交代”は予定事項だったようである。
「佐々木がブルペンに入り、試合前の投球練習に熱が入ってきたのは、午後0時半頃でした」(球界関係者)
ここで、「今日は調子が良くない」とコーチ陣は感じていた。ブルペンに帯同した木村龍治投手コーチから井口監督に報告がなされ、
「投球数が100球に達する前に交代させよう」
と決めていたそうだ。
試合序盤での失点も覚悟していたという。
「直球の威力で日本ハム打線をねじ伏せたという感じ。首脳陣は交代のタイミングを考えながら、佐々木を見ていたと思います。途中から腕の振り方もおかしかったし、これ以上投げさせたら、故障につながるとロッテ首脳陣は判断したのでしょう」(前出・プロ野球解説者)
佐々木が投じた球数は、102。試合後、木村コーチは「6回あたりから球が暴れ出していた」と交代の理由を説明していた。取材エリアからも、佐々木の疲労が窺えた。7回表からバッテリーサインが交換される際、肩で息をしていた。
「8回まで投げさせたのは、交代させるタイミングが見つからなかったからです。8回裏のロッテの攻撃中、佐々木はベンチに座ってリラックスしていました。交代は本人も納得していたはず」(前出・同)
記録よりも怪我防止を優先したロッテ首脳陣はさすがだが、こんな指摘も聞かれた。
「日本ハムとの3連戦で勝ち星ナシとなったのは痛いですよ(1試合は雨天中止)。エースの石川歩と佐々木が投げて、1勝もできなかったことになります」(前出・同)
16日に石川で試合を落とし、勝率5割。17日、佐々木降板後の延長10回、日本ハム・万波中正の一発で敗戦…。この日、日本ハム打線に許したヒットは、1本。万波のホームランだけだ。
こういう負け方はダメージが大きい。また、「記録達成の可能性」はプラス材料だけではないようだ。
「守備に就いているロッテ選手の方が佐々木よりも緊張していました。記録達成となった前回登板の時が特にそうでしたが、『エラーしてしまったら?』のマイナス思考になったのか、守備中の動き方もヘンでした」(ベテラン記者)
「怪物」と呼ばれる投手を預かったチームは、野手陣も精神的に強くなっていかなければならない。17試合を終え、8勝9敗。“大記録2試合分”を戦ったロッテナインの気疲れが心配だ。(スポーツライター・飯山満)