「私が大学3年生の時です。少し年上の彼と付き合っていました。彼は映画監督をめざしていて、自費で短編映画を撮ることになったんですね。そこで、私がバイトしていた居酒屋を撮影に使いたいと頼まれました。店長に尋ねると、“是非応援したい”と使わせてもらえることに。
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若者の群像劇で、10人ほどが集まって宴会を行うシーンでした。食べ物や飲み物も用意。店長も少しだけ出演することになり、演技指導を受けて喜んでいました。撮影終了後、店長からの“残すともったいないから”との計らいで、使った飲食物を全部ご馳走してもらえました」
それから2か月後、40分の短編映画が完成した。試写会が設けられたが、そこで問題が発生したそうだ。
「区の施設を借りて試写会が開かれました。私は、店長を連れて客席へ。映画が始まり、いつお店や店長が登場するのかと楽しみにしていました。ところが、中盤に差し掛かっても出てくる気配がありません。イヤな予感がしました。
結局、宴会のシーンがないまま、エンドロールが流れ始めました。青ざめましたね。終わった後、店長はそのことに触れず、“なかなか良かったんじゃないか”と言って去って行きました。
後で彼に聞いたら、“いらないシーンだったから丸ごとカットした”と…。後日、私は飲食代としてお店に3万円を支払いました」
情熱を持って夢を追いかけるのはいいが、他人に迷惑をかけるのは頂けない。もし、多少の犠牲は仕方ないなどと考えているのであれば、夢など追う資格はない。
写真・birdy