まず先発としてマウンドに上がった石田は1、2回ともランナーを許しながらも併殺打などで切り抜けるなど、3回3安打無失点と好投。球数も39球と少なく、スターターとして大切な省エネピッチングを披露することにも成功した。
登板後、本人も「自分の投げたい球と一致しているボールもあれば、そうじゃないボールもあった」としながらも「最初の試合にしては良かったと思います」と満足げな表情を見せた。
後を継いで登板した濱口は、4回を三者凡退と上々のピッチングを見せたが、続く5回にはヒットとフォアボールでピンチを迎えると、タイムリーヒットや内野ゴロの間に2失点。6回もヒットを打たれるもしのぎ切り、3回を2失点3奪三振と“らしい”内容で役目を終えた。
濱口も「キャンプからストライクゾーンに強いボールを投げることをテーマとしていましたが、本日の試合でも良いボールがあったので継続していきたいです」としたが「変化球の精度が悪く、リズムも悪くしてしまったので、クイックの精度とともにもう一段階上げられるよう取り組んでいきたいです」と反省点も口にした。
昨シーズン石田は前半戦、セットアッパーのポジションがハマらず、後半戦から先発転向。しかし9月23日に先発したが、この1試合しか機会は与えられず、ファームでノーヒットノーラン未遂をマークするも昇格はお預けで1勝2敗、防御率5.73の成績でシーズン終了。濱口も前半戦はゲームメイク能力を発揮するも、8月31日に抹消されてから一軍復帰はなく、5勝7敗で防御率3.94とともに消化不良の一年間となってしまった。
リベンジに向けてオフに石田は「今までと同じことをしていたら過ちを繰り返す。走ることでも意図を持って投球につなげられるトレーニングをしていきたい」とし、濱口も「早めに仕上げて実戦でアピールすることに力を注いでいく」と春季キャンプへ臨んでいた。
16日のピッチングを見る限りでは、先発ローテーションに向け石田がリードしたようにも見えたが、濱口も左バッターのインコースを攻める場面は迫力十分。両者ともに順調な調整ぶりを周囲に知らしめた。
石田は2017、2018年と2年連続、濱口は昨年と開幕投手の大役を経験している2人の左腕。実戦練習は始まったばかりだが、実績豊富な中堅がチームの底力をアップさせていく。
取材・文・写真 / 萩原孝弘