開幕戦では青のペンで、監督、コーチ、チームメイトの他、裏方さんに至るまで、それぞれの手のひらに、今シーズンのチームスローガン“横浜一心”の“一”を描き、チームの結束力を高める行動に出るなど、キャプテンとして勝利のために尽力した。前のキャプテン・筒香嘉智は、強烈なキャプテンシーでチームを引っ張っていったが、佐野のキャプテン像は、みんなで前に進む「和」を意識してチームをまとめていくスタイル。チームが不調のときに制作した「モチベーションビデオ」でも、ほかの選手の意見も取り入れるなど、協調性を重んじる姿が目立っていた。
契約更改では5年目で1億1千万円(推定)と大台を突破したことを告白し「いつかはなりたいなと思っていたので、すごくうれしい」と素直に喜びを表現したが「全試合出られたことだけが納得できること」と漏らした。前半戦まではリーディングヒッターだったが、後半は失速。個人の成績は昨年に比べると低い数字となったことに納得がいかない様子。チームとしても20年の4位から成績を落とし最下位に沈んだこともあり「最下位のチームのキャプテンということで、本当にただただ悔しかった」と振り返っていた。
キャプテンとして「右も左も分からなかった」1年目を経て、自ら動くことを実践できた2年目のシーズン。残念ながら結果はついてこなかったが、自らが理想とするキャプテン像には近づけたように見えた。シーズンに密着するドキュメンタリー作品「BBB」の公開記念挨拶でも「今シーズンは悔しい思いしかしていないので、来シーズン、皆さんと喜び合えるように頑張りたいと思います」とリベンジを誓った背番号7。辛酸をなめた2年間を糧に、来シーズンこそキャプテンとしてベイスターズを勝利へ導いていく。
写真・取材・文 / 萩原孝弘