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木村がトップアイドルに上りつめるきっかけとなったのは、月9ドラマ「あすなろ白書」(フジテレビ系)。93年に放送され、ヒロインの園田なるみ演じる石田ひかりを、木村演じる取手治がバックハグしながら「俺じゃダメか?」とささやくシーンは、「あすなろ抱き」と総称された。
大学で出会った男女5人の恋や友情を描いた青春群像劇には、木村と石田のほかに筒井道隆、鈴木杏樹、西島秀俊らが出演。最終回の平均視聴率は31.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)を獲得し、藤井フミヤの主題歌「TRUE LOVE」はダブルミリオンを突破。結婚ソングの定番となった。
同作で木村は、石田、筒井に続く3番手。これは、同作のプロデューサーだった亀山千広さん(現・株式会社BSフジ代表取締役社長)の意に反した。亀山さんは当初木村に、筒井が演じた主役の掛居保役でオファーした。ところが、木村サイドが番手を1つ下げ、初の月9で主演を蹴った。テレビ誌のフリーライターが振り返る。
「敏腕として名を馳せていたテレビプロデューサーが決めたキャスティングを、20代の若手俳優が覆すなんて前代未聞。亀山Pは『このドラマで人気が出たら、今オンエアされているどのCMで、誰のポジションに就きたいのか、イメージはできているのか?』と2人に問うたそうです。すると、その時点で木村さんと筒井さんにしっかりしたビジョンがあったので、番手変更を受理したと言われています」
20代の木村と、SMAPのチーフマネージャーだった飯島三智さん(現・「新しい地図」が所属する株式会社CULEN代表取締役)が下した決断は、見事にヒットした。取手がかけていた黒縁メガネは、売り切れ店が続出。バックハグは同作の代表シーンとなり、その後何年間にもわたって繰り返し流されることになった。
この蓄積が、およそ3年後に結実した。96年に亀山Pが月9ドラマ「ロングバケーション」(フジ系)を手がけると、月曜日の午後9時に街からOLが消えると言われるほどの社会現象を巻き起こし、キムタク人気が大爆発。平均視聴率29・6%をマークし、平成のお化け番組となった。ちなみに、平成のおよそ30年間で放送された全122作品の月9ドラマで、トップは「HERO」(01年)、2位は「ラブジェネレーション」(97年)、3位が「ロンバケ」で上位3位を木村が独占。その快進撃の先駆けが「ロンバケ」だった。
来年は待望の海外ドラマで、“世界のタクヤ”になる。アラフィフド真ん中のキムタク伝説が、また更新されそうだ。
(伊藤由華)