「中田には侍ジャパン再招集の話があったんです。プレミア12大会(2019年)で外国人投手特有の動くボールに対応できる選手が少なく、前WBC大会の主砲だった中田の名前が浮上してきました。でも、今季は開幕から不振で…」(球界関係者)
中田は27日の同カードでもヒットを放っているが、表情は冴えない。試合後の共同取材でも、「(先制打を打ったのは)フォークボールかな。もっと状態を上げていけるように」と、淡々と返すだけ。2日間の状態を見る限り、腰痛は解消されたようだが、ちょっと強気な中田節は聞かれなかった。
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昨季、自身3度目の打点王にも輝いた。ここまでの成績は、打率1割9分3厘、打点13(39試合)。不振の原因だが、「腰痛ではなく、メンタル的なもの」と指摘する声が多い。
「今年のキャンプ、オープン戦を振り返ると、巧く調整できなかったみたい」
そう指摘する声も多い。しかし、中田も14年目を迎えたプロであり、ベテランだ。猛チャージを掛け、開幕戦に臨んだが、空回りしてしまったようだ。
故・衣笠祥雄氏が「スランプ」について、こんな風に評していた。
「結果が出ないのは技術不足。結果が出ない状況が続くと、気持ちが萎えてしまう」
故障についても思い詰めてしまうと、やはり気持ちが萎えてしまう。故人は「心技体」という言葉を大切にしていたが、中田もそんな状態にあるのだろう。
「中田は3年契約の最終年を迎えました。来季33歳になる中田が複数年契約を再び結ぶことは考えにくい。かといって、フリーエージェント権を行使して新天地を求めることも、現時点では考えにくい」
パ・リーグの試合を担当することの多いプロ野球解説者がそう言う。
複数年ではともかく、高額年俸での契約更新になるのではないだろうか。理由は、 「新球場のプロモーション映像」だ。23年3月開業予定の新球場をPRする映像が北海道内で流されており、それに出演しているのは中田だった。
「約600億円を投じた一大事業です。その建設費の一部は地元企業、日本ハムグループのパートナー企業からも出資を募りました。PR映像に抜てきした人気選手を無下に扱うようなことはしないはず」(地元関係者)
中田の今季の推定年俸は、3億4000万円。チーム功労者として、また、「新球場の顔」として恥ずかしくない年俸額が提示されるのではないだろうか。
チームメイトから「もらいすぎ!」と思われないよう、中田は後半戦のチームを牽引していかなければならない。昨季は「そこいらの選手とはレベルが違う」ということで、「レベチ」なる造語も口にしていた。そんな中田をもう一度見たい。できれば、侍ジャパンでも。そう思っているファンも少なくないはずだ。(スポーツライター・飯山満)