7月18日(日本時間19日)に行われたマリナーズとの一戦で、後半戦初となる34号アーチが飛び出した。試合は落としたものの、9回裏の第5打席でスタンドに叩き込んだ。
「球宴での疲労、ホームランダービーでのフルスイングの連続などで調子を落としているとも指摘されていました。エンゼルスの首脳陣、そして、ファンを安心させる一発だったと思います」(米国人ライター)
これで、本塁打王争い2位のゲレーロ(ブルージェイズ)とは3本差。「シーズン60本ペース」なんて米報道もあったが、エンゼルスのジョー・マドン監督を始め、チーム関係者はその前の第4打席に注目していた。
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その第4打席とは、平凡な一塁ゴロ。しかし、必死の全力疾走で「セーフ」にしてみせた。これが、なぜ注目されたかというと、チームメイトの記録更新も掛かっていたのだ。
「チームメイトのデビッド・フレッチャーが『26試合連続安打』の記録更新中でした。エンゼルスの球団史上では1998年にギャレッド・アンダーソンがマークした28試合が1位。あと2試合で1位タイ、なんとかしてあげたいと大谷は思っていました」(前出・同)
フレッチャーはここまで4打数ノーヒット。第4打席は7回、このまま試合が進めば、フレッチャーに打席は回ってこない。大谷は自身が出塁することで、9回の第5打席をプレゼントしたいと思っていたのだ。
フレッチャーの記録は第5打席で三振を喫し、ストップ。フレッチャー本人はもちろん、チームメイトも感じるものがあったはすだ。
しかし、同時にこんな指摘も聞かれた。
「大谷の第4打席ですが、前半戦の大谷なら、間違いなくボールがスタンドまで届いていました。明らかな打ち損じ。力で引っ張ろうとしたのか、左肩が下がりすぎている印象を受けました」
同試合の衛星放送を見ていた日本のプロ野球解説者がそう指摘する。
力で引っ張る。つまり、球宴前日のホームランダービーの影響である。
とは言え、大谷は「並みのバッター」ではない。打ち損じた第4打席の反省を、次の第5打席に活かしていた。
「第5打席のホームランですが、低めのボール球です。見逃していたら、完全にボールカウントになっていました。大谷は無意識のうちに左肩が下がっていることを試合の中で自覚したのでは? だから、左肩が下がっても影響の出ない低めの投球に狙いを定めていました。すごい応用力です」(前出・プロ野球解説者)
試合後、エンゼルスのマドン監督も「センター方向に打とうしていた」と、第5打席のホームランを評価していた。34号アーチは右中間スタンドのややセンター寄りに飛び込んでいる。無意識のうちに力が入りすぎていた。それを大谷本人も気づき、“センター返しを意識したバッティングで修正した”と称賛したのだ。
チームメイト思いで、打撃フォームを崩しかけていた自身の状態に気づく。かつ修正もできる。大谷の快進撃は止まりそうにない。(スポーツライター・飯山満)