「こういう梅雨の時期なので、皆さんに日本の四季を楽しんでいただけたら…」
これは、去る5月20日に出た今永のコメント。同23日、今永は自身の復帰登板を果たした。「雨天中止」とならなければ、20日の中日戦がその舞台となっていた。各担当記者は、同日に向けて調整してきた今永に“ひと言”をもらおうと思って集まり、そこで出たのがこのセリフだった。
交流戦開幕前日の24日、NPBはオンラインによる臨時の12球団代表者会議を開催している。そこで、今季の交流戦に関する“臨時規定”が決定した。
全日程を消化できなくても、優勝チームを決めてしまう。未消化試合は後半戦のどこかに組み込み、トータル143試合制を確保する、と――。
「チーム内で新型コロナウイルスの感染者を出してしまったところもあり、特に広島は複数の主力選手が感染し、試合を延期せざるを得ないところまで追い込まれました。加えて、日本では例年よりも早い梅雨入りも報告されています」(球界関係者)
交流戦は雨天の多くなる時期に組み込まれている。これまでは予備日を設け、一定期間内に全日程を消化させようとしてきた。
しかし、今年は違う。6月17日で打ち切る。15試合以上(1球団18試合)、勝率5割以上のチーム内から勝率トップを優勝とする。但し、15試合に満たなかったチームでも、「未消化試合」を負け試合として計算し、それでも勝率1位であれば、優勝とする。
後半戦に行われる交流戦の未消化試合がペナントレースに大きな影響を与えそうだ。
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屋外球場の横浜スタジアムを本拠地とするDeNAは、交流戦18試合中12試合が「屋外」、つまり、天候に大きな影響を受けることになる。
これに対し、東京ドームを本拠地とする巨人、バンテリン球場の中日は、屋外球場でのゲームは3試合のみ。阪神、ヤクルト、広島も12試合を屋外球場で行うが、今永の言う通り、「四季を楽しむ」くらいのメンタルがなければ、乗り切れないだろう。
「今永の復帰登板ですが、初回に失点するなど本調子ではありませんでした。でも、2、3、4回は調子が悪いなりに工夫をしていたというか、変化球を高低に投げ分けていたように見えました。次回登板に期待が持てると思います」(プロ野球解説者)
横浜は「借金17」と苦しい状況に陥っている。しかし、エース・今永の一軍合流後、試合前の練習の雰囲気が変わった。遠投などでボールを放るだけで独特の緊張感が伝わり、他選手も時折、今永の方に目を止める。エースの存在感である。悪条件の交流戦を今永のメンタル力で乗り切れば、チーム浮上のきっかけにもなるはずだ。(スポーツライター・飯山満)