「メル・ロハス・ジュニア選手のバットからようやく快音が聞かれました。22打席目で初安打、でも、その一本がホームラン。次打席でもセンター前ヒットを放ち、矢野監督もひと安心です」(在阪記者)
前日は休日返上で打撃練習を行った。その努力が報われたのだろう。
しかし、ネット裏の阪神OB、プロ野球解説者の多くは、「もう少し時間が掛かる」と厳しい評価をしていた。
「タイミングの取り方がちょっとおかしい。本人も分かっているみたいだが、こういうのは場数(打席数)を積み上げていくしかない」
とは言え、この新助っ人の覚醒を待つことはできないようだ。そのメル・ロハス・ジュニアが初安打を放った18日、開幕から先発出場を続けていた糸原健斗選手が欠場した。下半身のコンディション不良によるものだが、矢野監督は「すぐに先発復帰ということはない」と説明していた。
「指揮官がハッキリと、マイナスの情報を口にするのは珍しいことです。普通は隠すもの」(ベテラン記者)
急に痛めたわけではなさそうだ。無理を重ねてきて、欠場せざるを得ないところまで悪化したとの情報も飛び交っていた。
また、糸原が欠場した日は、エース・西勇輝投手で試合を落としている。6四死球(故意1を含む)と“らしくない”内容だった。試合後、指揮官は「(投げた)ボール自体は悪くなかった」とかばったが、データを見直してみたら、4月27日以降4戦連続で勝ち星から見放されている。
こういうチーム状況では、メル・ロハス・ジュニアに場数を踏ませるための十分な機会は与えられないだろう。
>>阪神・矢野監督に金村氏が苦言「2人とも潰してまいよるな」 糸井を差し置いてのロハス起用を問題視、本人も自身の非を認めた?<<
「25日から始まるセパ交流戦がポイントになりそう。交流戦を勝率5割で乗り切れない雰囲気です」(前出・同)
長いペナントレースにおいて、良い時もあれば、悪い時もある。当たり前のことではあるが、優勝するチームには、重苦しくなった雰囲気を一変させる力も秘めている。典型的な例が経験豊富なベテランか、新戦力の活躍だ。その意味では、阪神は「佐藤輝明の4番」という“極上のカード”をすでに切ってしまった。残されたカードと言うと、思いつくのは、大山、藤浪といった再調整組の帰還だけだ。
甲子園球場からさほど離れていない京セラドーム大阪のオリックス対千葉ロッテ戦で、「鳥谷敬対能見篤史」が実現した。元トラ戦士同士の対戦は能見に軍配が上がったが、9回最後の攻防でロッテ打線が一矢を報いたのは、ファールで粘る鳥谷の執念が伝わったからだ。
矢野監督はこの2人の対決に何を考えたのだろうか。(スポーツライター・飯山満)