今季2度目の先発マウンドに立ったのは、現地時間・4月6日のSFジャイアンツ戦だった。勝敗はつかなかったが、6イニングを投げて被安打3失点1、与四球1。「4回までは毎回の7奪三振」と好投した。
「ジャイアンツ戦の登板が『試金石』と見られていました。前回の登板、つまり、開幕戦での彼は5回途中4失点と内容がイマイチでした。開幕戦独特の緊張感もあります。今年もやってくれるのかどうか、真の状態を見極める登板と位置づけられていました」(米国人ライター)
今季も、昨季同様、目を見張るピッチングが見られそうだ。
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しかし、その2回目の登板でこんな指摘もされていた。「クセを盗まれたのではないか?」と――。
「同試合を中継した放送局・FSサウスが指摘し、米メディア全体がそれに同調したんです。昨季のダルビッシュはシーズンを通し、ホームランを5本しか打たれていません。なのに、今季は2回の登板で3本を喫しています」(前出・同)
同局の指摘を聞き、ピンと来たのが「サイン盗み」だ。
ドジャース時代の2017年、アストロズとのワールドシリーズ登板でバッテリー間のサインを“盗み見”され、この問題は「あってはならないこと」とし、アストロズはもちろん、それに関わった選手、首脳陣、球団スタッフ全てが処罰された。
ここで、線引きしておかなければならないことがある。対戦投手の「クセ」を見抜くことはOKだが、バッテリー間のサインを盗撮カメラで見て、味方バッターに伝達するのは“ルール違反”だ。
同放送局の「クセを盗まれたのではないか?」なる指摘は後者のルール違反を指しているものではない。しかし、好成績を残した投手に対し、徹底的な研究をし、対策を講じるのは日本もアメリカも同じだ。いや、専門のアナリストを雇い、数値化するアメリカの方が「上」だろう。昨季最多勝で、サイ・ヤング賞次点のダルビッシュ対策は、ナ・リーグ西部地区だけではなく、リーグ全体のテーマでもある。
「昨季と同じ投球スタイルでは通用しない、色々と研究しているのはダルビッシュも同じです」(前出・同)
ダルビッシュの決め球はスライダーとナックルカーブと言われている。先のジャイアンツ戦でもウィニング・ショットとしてそれを使っていたが、「研究されている」という自覚があったのだろう。途中から直球やスプリットを多投していた。
ホームラン3本は単なる偶然か、それとも、ダルビッシュ攻略法が見つかったのか? その結論は次回登板で明らかになる。(スポーツライター・飯山満)