「阪神の佐藤と、巨人の秋広(優人)に注目していました。阪神バッテリーは容赦なく、ペナントレース本番みたいなキツイ攻め方をしていました」
同試合を見ていたプロ野球解説者の言葉だ。
秋広は2打数2三振1四球と、良いところが全くなかった。試合後、原辰徳監督は「一軍とは競争の場所だから。育成の場所じゃないからね」と、厳しく言い放った。
一時は、「(王貞治氏以来)62年ぶりの高卒新人開幕スタメンも」と期待されていた。しかし、大学卒の佐藤と、高校卒の力量差が、同日の試合でそのまま出てしまったようだ。
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もっとも、前出のプロ野球解説者が「容赦なく」と指摘していたように、阪神バッテリーは落ちる変化球を効果的に使っていた。「相手は18歳なんだから、そこまで本気にならなくても」の声が試合後に出ていたのも本当だ。
「最初の三振は落ちる変化球に対応できませんでした。2打席目の三振は、その落ちるボールが念頭にあったんでしょうね。ウラをかかれて直球に対応できませんでした」(前出・プロ野球解説者)
“62年ぶりの快挙”は見てみたいが、長い眼で見れば、ファームで鍛え上げてから一軍に定着させるべきなのかもしれない。
「阪神バッテリーが容赦なく、秋広を攻めたのは彼の実力を認めたからです。高卒新人が活躍すれば、チームが勢いづくのは必至。オープン戦では話題の新人に対し、先輩投手が『打てるモンなら、打ってごらん』と甘いボールを投げるケースもあるんですが」(前出・同)
“甘いボールのサービス球”を投げてもらえなかったのは、優勝を狙うチームの一員となった試練だろう。
キャンプ終盤では、秋広の居残り練習は“恒例行事”になっていた。牽制の捕球後のグラブの動かし方、ショートバウンドする送球を捕球する際のグラブの出し方、サインプレー等々…。秋広は高校時代に一塁守備もやってきたが、「自己流」で誤魔化していたところもあったらしく、基本動作を徹底的に教え込まれていた。
後藤孝志野手チーフコーチが付きっ切りとなり、それを原監督が見守って――。そんな光景が連日、沖縄キャンプで見られた。
「一軍で使うつもりでいるから、ここまで教え込んでいるんだ」と思ったのは、筆者だけではないはずだ。
「次のオープン戦が組まれている16、17日(中日戦)が最終テストとなりそう。そこで結果を出せば、開幕スタメンも十分に考えられます」(スポーツ紙記者)
15日は試合が組まれていない。関係者によれば、同日、巨人は甲子園球場を借りて全体練習を行うが、秋広の守備・打撃練習には担当コーチが多く時間を割くつもりでいるという。二軍降格させるだけなら、そこまで配慮しないはずだ。原監督が期待しているのは間違いない。(スポーツライター・飯山満)