3月4日の北海道日本ハムファイターズ対埼玉西武ライオンズのオープン戦。西武の4番に座った山川穂高が公式戦初アーチとなる中堅席への本塁打を放った。日本ハム先発の金子の外寄りのボールをタイミングよく合わせ、バックスクリーンへと運んでいる。
「犠牲フライを打つつもりだった」という一発は、状態の良さと、今シーズンの復調を感じさせるに十分な一打にも感じられた。
この打席、初球から豪快な空振りを披露している。高めの真っすぐに対し、山川らしい見事なまでのフルスイングだった。キャンプで語っていた「フルスイングでホームランを打ち続けられるフォーム」への意識が表れていたようにも捉えられる。何より、そのスイングは初球から打ち気溢れんばかりの勢いが伝わっていた。その後の「技あり」本塁打は、ボールが良く見えている結果に他ならない。
また、前日のオープン戦初戦の初打席でも、山川の最初の打席、初球からボールを捕らえに行き、力強いスイングを見せている。気持ちと体の動きとのバランスの良さが見て取れる2試合だった。
2018年から2年連続で本塁打王を手にし、主砲としてライオンズをリーグ優勝へと導くも、昨季は自身の成績もチームも低迷。打撃成績は24本塁打、.205と大きく数字を落とした他、秋には右足首の怪我により登録を抹消され、そのままシーズンを終えた。主砲の絶不調とともに「山賊打線」も低迷、獅子の迫力が消え失せた一年となった。
春季キャンプでは、負傷の影響もあり主力組とは別のB班からのスタート。キャンプでは、打撃フォームの変更も試みるなど、昨年のリベンジを果たすべく調整を続けてきた。昨年10月以来の実戦となった先月の練習試合では、適時打を記録している。先月末に一軍合流を果たし、3日のオープン戦初戦よりスターティングメンバーに名を連ねるなど、怪我からの順調な回復ぶりが窺える。
打倒ソフトバンクを果たし、ライオンズのペナント奪還を成し遂げるためには、主砲・山川の復活が前提条件だ。主砲が公言する「今シーズンの目標は本塁打王と優勝の奪還」はいずれもファンの願いでもある。その大きな目標に進む新シーズン、オープン戦でのアーチで見せた山川の「進化」が頼もしく、今後へ向け大いに楽しみになってきた。(佐藤文孝)