前DeNAの梶谷隆幸外野手、井納翔一投手の巨人入団会見が開かれた(12月14日)。同席した原辰徳監督は「1番・梶谷、2番・坂本、3番・丸、4番・岡本。強いパーツが一人加わり」と早くも2021年の新打線構想を語っていた。
昨年はフリーエージェント交渉に失敗。今オフは意中選手を短期間で口説き落とし、指揮官も興奮しているような口ぶりだった。
しかし、問題はこれから…。梶谷は人的補償も発生するBランク選手のため、DeNA側に28人までのプロテクト名簿を提出しなければならない。
「ベイスターズはしたたかですからね。過去、巨人は工藤公康投手(現ソフトバンク監督)を引き抜かれ、今季前半戦で活躍した平良拳太郎投手も16-17年オフ、山口俊投手(現ブルージェイズ)の人的補償で持っていかれました」(スポーツ紙記者)
三浦大輔監督も今季は二軍を指揮していたので、巨人の若手選手を見ている。何人かの将来性の高い選手を挙げているのではないだろうか。
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引き抜かれる側の“待つ恐怖”もあるが、こんな指摘も聞かれた。
「菅野ですよ。ポスティングシステムを使い、米球団と交渉中ですが、本人が残留も選択肢に入れている以上、プロテクト名簿に名前を残さなければなりません。『菅野抜き』の名簿を提出し、その後、残留が決まったら、DeNAは菅野を引き抜くことも可能です」(前出・同)
会見後、巨人・大塚淳弘副代表は会見後、菅野の去就と名簿作成について聞かれ、「しっかりやります」と答えた。名簿には菅野を入れるという意味だろう。
とは言え、米球団との交渉がまとまれば、「1人分の枠」を無駄にしてしまう。名簿提出の期限は「公示後、2週間以内」と決まっている。梶谷、井納が巨人選手として公示されたのは、会見が行われたのと同じ14日。12月28日にはDeNAの球団事務所に名簿が届いていなければならない。
これに対し、菅野はポスティングシステムのルール上、来年1月8日午前7時まで米球団側と交渉することができる。
姑息ではあるが、FA交渉を長引かせ、菅野の去就がハッキリするまで時間稼ぎをする方法もできなくはなかった。それでは、梶谷に“誠意”は伝わらなかったが…。
「菅野に限らず、今オフの米FA市場の交渉は遅れています。代理人、ゼネラルマネージャー、球団編成スタッフが一堂に集まるウインターミーティングがコロナ禍で中止となり、交渉はオンラインに制限されました。初めての試みであり、不慣れなことが遅延の理由です」(米国人ライター)
菅野の元には、7、8球団から具体的な金銭提示もあったという。それでも交渉が前に進まないとなれば、残留に傾きつつあるのではないだろうか。今季の推定年俸は6億5000万円。DeNAは経営基盤がしっかりしているが、お高い買い物となるのは間違いない。巨人も菅野の動向を見ながらの名簿作りとなりそうだ。(スポーツライター・飯山満)