巨人・菅野智之投手がメジャーリーグ挑戦を決めた。海外フリーエージェント権を持っていないため、所属球団の協力が必要なポスティング・システムとなる。巨人・大塚淳弘副代表は「本人が希望すれば認める」と慎重な物言いだったが(12月3日)、すでに菅野自身の意思を確認したのだろう。
しかし、“慎重な物言い”となったのは、菅野本人の表明会見前だったせいだけではない。何度か、「残留の選択肢もある」と繰り返し、説明していた。メジャー球団の条件提示、新型コロナウイルス禍によって、来季の米ペナントレースが正常に行われるかどうか、まだ決まっていない。
菅野と代理人が米球界側と交渉した後、いったんその内容を持ち帰り、メジャーリーグに挑戦するかどうか、巨人も一緒に検討するようだ。
「米球団はコロナによる無観客試合のため、収入がガタ落ちです。契約金、年俸ともに買い叩かれる可能性もありますからね」(米国人ライター)
見方を変えれば、菅野側は“強気な交渉”に出るとも解釈できるが…。
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大塚副代表の発言と前後して、米メディアではこんな報道もあった。
<最後に大物を取っておいたということだ。31歳、巨人のエースは大リーグでも先発を張れると衆目が一致している>
米スポーツサイト「ジ・アスレチック」がそう伝えていた(12月2日/現地時間)。その根拠として、直球が速く、米球界では効果的な変化球とされるスライダー、スプリット(フォークボール)を得意としていることが挙げられていた。
獲得を真剣に検討している球団として、パドレス、ヤンキース、ジャイアンツ、エンゼルスが挙げられていた。また、年俸額では少し落ちるが、パイレーツ、マリナーズなども長期契約の提示で対抗してくると予想していた。
「今オフの米FA市場は好投手が少なく、菅野の価値を高めているようです」(前出・同)
菅野が米球団と契約した場合、譲渡金が発生する。昨年オフ、渡米した山口俊はブルージェイズと2年600万ドル(約6億5000万円)で契約し、その20%相当にあたる120万ドル(約1億3000万円)が巨人に支払われた(注・為替レートは当時のもの)。
「菅野の推定年俸は6億5000万円。減額での挑戦は考えにくい」(スポーツ紙記者)
穿った見方ではあるが、エースを手放すとなれば、巨人もそれ相応の投手を補強しなければならない。ルール変更により、松坂大輔、ダルビッシュ有が渡米した時のような何十億円という金額は発生しない。とは言え、米球団が提示する年俸、契約金が高ければ高いほど譲渡金もつり上がっていく。その譲渡金が補強に回されるとしたら…。“慎重”にならざるを得ないのも当然か。(スポーツライター・飯山満)