ドラマファンからは『チェリまほ』の愛称で親しまれている本作。タイトルの通り、童貞のまま30歳を迎えた主人公・安達清(赤楚衛二)は、“触れた人の心が読める魔法”を手に入れてしまった。魔法を持て余していた安達は、ひょんなことから社内随一のイケメンで営業部エースの同期・黒沢優一(町田啓太)の心を読んでしまうが、聞こえきたのは自分への恋心で――というストーリーが描かれている。
当初は、イケメン同僚からのストレートすぎる恋心に戸惑うばかりだった安達が、黒沢からの想いを通じて自身の劣等感と向き合ったりなど、恋愛要素以外も反響を呼んでいる本作。放送後、女性視聴者からの大反響が聞かれているが、実は作品の中に女性を虜にするポイントが組み込まれているという。
「エリートで何をやらせても完璧な黒沢に、若干の劣等感を抱きつつも、その優しさに、いつしか黒沢と向き合いたいと想い始めるという安達の姿が描かれていますが、ひたすら紳士な黒沢と、ドジな一面もありつつ一生懸命で可愛い安達と言うのは、実は少女漫画と同じ構図。男女の恋愛ドラマの場合、イケメン俳優に入れ込んだ女性ファンがヒロインに対し、『合わない』バッシングすることも珍しくありませんが、男性同士の場合、女性には必然的に二人の仲には手が届かない存在に。視聴者が完全に傍観者になることで、ストーリーにも夢中になることができ、女性視聴者をより引き込んでいるようです」(ドラマライター)
また、実は昨年放送された深夜ドラマ『きのう何食べた?』(同)との共通点も聞かれているという。
>>大反響呼んでいるドラマ『きのう何食べた?』、シリーズ化が期待できるワケ<<
「18年に連続版が放送され、大人気となった深夜ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)の流れで放送され、男性2人のリアルな同棲生活が描かれて反響を博した『きのう何食べた?』ですが、称賛された点の一つは、“同性愛”をやたらと強調しないという点。普通の生活の中の一風景に男性カップルがあるといった形になっていました。『チェリまほ』も、男性が男性を好きになることを悩んだりせず、メインに描かれているのは、想いが届かない苦しさや、ストレートに向けられる恋心に戸惑う様子。同性愛だからこそではなく、普遍的な恋愛の苦悩を描くことで、新しい時代の恋愛ドラマとして『おっさんずラブ』、『きのう何食べた?』と同様、称賛を集めているようです」(同)
新しい形のBLドラマは、今後も続々制作されていくだろう。