ブルーリボン賞、日本アカデミー賞など受賞歴多数。主演・脇役を問わず映画やドラマの第一線を突っ走る売れっ子俳優の逮捕に世間は驚きを隠せなかった。
今後公開予定の映画にも大きな影響を及ぼすことが予想されているが、そんな中で映画制作会社の東映が下した決断に注目が集まった。
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東映社長の手塚治氏は、伊勢谷が出演する映画『いのちの停車場』について、出演シーンをカットせずに放送することを発表した。
大手映画会社が下した「作品と個人は別」という判断が今後の映画製作にどのような結果をもたらすのか注目されている。
さて、今回の東映の「作品と個人は別」という考え方だが、実は今から40年前、今回の伊勢谷と同様のケースがあの有名映画作品でもあったのだ。
1980年に公開された黒澤明監督『影武者』。当時の日本映画の歴代映画興行成績1位を記録。カンヌ国際映画祭最高賞、アカデミー賞など数々の賞に輝いた、巨匠・黒澤明監督の時代劇だが、実はこのロケの最中、俳優が北海道のロケ地で大麻を回し飲みしていたことが判明。大麻取締法違反の容疑で逮捕されたのだ。
逮捕された俳優のひとりは、名前のついた大きな役で映画初出演。大麻に手を出した理由は「初めての映画出演で緊張していた」とのことであった。
映画は既に公開中であったが、大ヒットを記録した作品であったため、カットされることはなく、また黒澤明本人も俳優たちが大麻を吸っていたことに気が付かなかった。新聞で「監督というのは百人以上の俳優の演技を監督しなくていけない。もちろん私生活までは監督できない」と語り「僕が大麻を飲ませたのなら話は別だが、作品とは関係ない話である」とし、必要以上に責任は負わない姿勢を明らかにした。
そのため『影武者』は現在も公開当時のままの状態でソフト化されている。