この話には何パターンかあり、「タクシー運転手が全身赤の服の女性を人里離れた洋館へ送る。興味が湧いて扉の鍵穴から部屋をのぞくとその向こうは真っ赤だった。のちにこの女性の噂を聞き、女性の『瞳』が真っ赤であることを知る。つまり、運転手が部屋をのぞいている間、女性もこちらをのぞき返していたのだ」…というパターンと、「ネット上に出現する謎の広告」の2パターンがある。
>>お化け屋敷、ミラーハウス・・・としまえんに残る怪談<<
後者のパターンについては、2007年頃にネット上に登場した同名のFlash動画から有名になった。Flash動画とは、Adobe Systems社(旧Macromedia社)のWebコンテンツ制作ツール「Adobe Flash」のフォーマットで作成されたデータ。中でもFlashを用いた短編アニメーションやゲームなどは、90年代から一時代を築き、人気を博したものも少なくなかった。
そんなFlash動画の中で、かなり古くからあるホラー系の短編動画が「赤い部屋」だった。
動画で紹介される「赤い部屋」の内容は以下の通りだ。
主人公の友人が「赤い部屋」という奇妙なウェブサイトの噂を持ってくる。それはネットを見ていると急に出てくる広告で、閉じると殺されてしまう、というもの。主人公もネットで探してみると、忘れた頃に奇妙なバナー広告がポップアップされた。真っ赤なバナー広告には『あなたは 好きですか?』とだけ書かれており、思わず主人公がクリックして閉じようとすると…という流れで進んでいく。
最後に友人と主人公が血まみれで「真っ赤になった自室」で自殺していたことが明らかになる。そこで話は終わるのだが、同時にある仕掛けが組み込まれており、動画を見ていた人たちを恐怖に陥れていた。
さて、こちらのパターンの「赤い部屋」について、技術の進歩により消えてしまうのではないか、という話が出てきている。まず、「赤い部屋」のFlashだが、Adobe社は2017年にAdobe Flash Playerのサポートを2020年末で終了すると宣言。つまり、来年になるとFlashを用いた動画やゲームは楽しめなくなってしまうのだ。HTML5やWebAssembly等に移行しているものもあるが、大半が閲覧不可になると考えられている。また、このFlash動画の恐怖を倍増させている仕掛けも、Webブラウザの進歩により数年前から作動しなくなっていた。
技術の進歩により恐怖を感じるギミックが封じられ、最後にはストーリー自体も楽しめなくなってしまう「赤い部屋」は、消えゆく都市伝説なのかもしれない。
関連URL
おもしろフラッシュ総合サイト赤い部屋
http://29g.net/html/072513.php
(山口敏太郎)