そんな「切り裂きジャック」に憧れ、自らを「日本の切り裂きジャック」と自称した猟奇犯罪者がいた。
1964年12月26日、東京都西北部で1年10か月に渡り、男児の体を切りつけたりした男性が逮捕された。
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彼は少なくとも11人の小学生~中学生の男子を襲い、体を切りつけたり、突き刺したり、または性器を切り落とすなどの事件を起こしていた。
本事件はその猟奇性もさることながら、日本中の目を引いたのは、逮捕された男性の年齢だった。逮捕当時、男性はまだ17歳の高校2年生であったのだ。
この高校2年生の犯人Aは、東京都内に住む中流家庭の息子だったが、勉強で挫折し、そのストレスのはけ口として通り魔事件を起こしていたのだ。
Aの手口は悪質で、抵抗できない小、中学生を人気のない場所へ縛り付け、さらに猿ぐつわをかけて声を出せなくして殴りつけたり、性的いたずらを続けた。中には性器を切断され、全治2か月の重傷を負ってしまった子どももいた。
また、Aはさらなるスリルを求めるためだったのか、マスコミや警察に「日本の切り裂きジャック」と名乗り、挑戦状らしき怪文書を送っている。怪文書では「私は変質者ではない」と前置きした上で、「私の本当の目的は警察を操り人形のように動かすためである」と警察を挑発し続けていた。
結果、Aは落としたノートの筆跡から容疑者が絞られ、逮捕となった。
未成年だったため、懲役3年以上4年以下の不定期刑(身体を拘束して自由を奪う刑罰)となったが、その後も放火や窃盗などの犯罪を繰り返し、またしても少年に暴行を加えるなどし、成人後に今度は懲役12年の判決が言い渡されている。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)