業界関係者は、生前の三浦さんの人柄について、「責任感が強い人」「努力家で真面目な人」「他人に気配りができる誠実な人」「いつも笑顔で明るい人」など、誰もが共通して高く評価しており、突然の訃報を悼む声であふれかえっている。
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直近まで撮影で一緒に仕事をしていたスタッフは、最近の三浦さんの様子について「普段と何も変わらなかった。信じられない」とする一方で、「ひどく深く落ち込んでいたところもあった」と話す人物もいるようだ。
また、先輩後輩の間柄を超えて交際のあった俳優・小栗旬が、2年前の三浦さんとの対談で、三浦さんについて「心配するときもある」「ちょっと危なっかしい存在」と話していたことから、繊細な一面もうかがえる。
深刻な悩みや激しい気分の落ち込みなどがあってもなかなか表に出さない人に対して、周りの人がその変調に気付くためには、まず「激しく落ち込んでしまいやすい傾向がある人」の代表的な特徴を把握した上で、ある特定の変化に気を付ける必要がある。
例えば、激しく落ち込みやすい人の代表的な特徴には、「完璧主義」「いつも頑張り過ぎる」「悩み事を人に話さない」「人の目を気にし過ぎる」などが挙げられる。これらの特徴の根幹には、「責任感が強い」という共通項がある。落ち込んだ気分を悟られないように明るく振る舞うのも、プライドが高いというだけでなく、他人に心配や迷惑をかけないようにするためである場合が多い。こうした特徴を持つ人は、頑張っている時や、人と関わっている時はエネルギッシュに活動していても、その分、激しく気分が落ち込んでしまうケースも少なくない。
落ち込んだ状態を「抑うつ気分」ともいい、その状態をさして「抑うつ状態」と呼ぶことがある。こうした状態は、憂鬱だと口にしていたり、「自分のせいで」「自分が悪い」といった自責感の強い言葉が多く、表情が暗く沈んでいるのであれば比較的分かりやすい。親交の深い人であれば、いつもより涙もろくなったと感じたり、これまで好きだったことに対して興味や関心がなくなっていたり、何に対してもやる気がなさそうだったり、食欲や体重が大きく変化した、といった変化にも気付きやすいだろう。
その他、抑うつ状態にあると、不眠・過眠などの睡眠障害、思考力・集中力・判断力の低下、飲酒量の急激な増加などの現象が見られる。
また、抑うつ状態は、頭痛や吐き気、免疫力の低下など、身体症状に表れることもある。本人が原因不明の頭痛に悩まされていたり、体調が優れない日が続いているようであれば、たとえ悩みを表には出していなくても、精神的につらい状況にある可能性がある。
このような変調が、短期間で一過性のものなら誰でも経験するもので特に問題はないが、2〜3カ月など長期間続くと、精神的に深刻な問題に発展しやすくなるといわれている。もしも知人に心当たりがあり、深刻な状態にあると気付いた場合は、無理やり励ましたりせず、カウンセラーや精神科の専門医などに相談するよう促してほしい。また、そこまで深刻ではない場合でも、無理に励ましたり自分の経験論で諭すようなことはなるべく控え、本人の話にただ耳を傾けるというスタンスで話を聞くことで、良い変化を与える可能性が高まる。
三浦さんとよく酒を飲む機会があったという友人男性によれば、三浦さんは「2年以上前から劇的に酒量が増えた」「自暴自棄になって、尋常じゃない量を飲んで泥酔するようになった」という。過剰な飲酒は、睡眠障害や自殺の衝動を誘発するなど、抑うつ状態を悪化させやすい。気分が落ち込んでいる時の飲酒には特に注意が必要であるとされている。
ストイックに仕事と向き合う一方で、人に優しく、業界関係者やファンを問わず多くの人から愛されていた三浦さん。才能豊かな俳優の突然の訃報に、日本中が大きなショックを受けている。
心から三浦さんのご冥福をお祈りする。
文:心理カウンセラー 吉田明日香
厚生労働省、各都道府県では悩みを抱えた人の相談窓口を設けている。詳細はこちらから。
・厚生労働省 相談先一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html
・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
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