女性は3日午前10時40分過ぎ、岐阜県岐阜市正木中の大型ショッピングセンター「マーサ21」を自動車で訪れ、駐車場にバックで車庫入れを試みる。ところが、ここで後ろに止まっていた車に衝突した。
ここでパニックに陥った女性は、前進して別の車2台に衝突。さらに、バックする際に1台とぶつかり停車。結局、計4台を巻き込む事故を起こす。警察の取り調べに対し、女性は「最初にぶつかった後、慌ててしまった」「びっくりしてしまった」などと話しているという。
このニュースを聞いたネットユーザーを驚かせたのは、92歳の女性が免許を持ち、自動車を運転していたこと。「なぜ92歳が普通に運転していたのか」「そりゃ90代の人に咄嗟の判断は無理」と女性の責任を問う声や、「運転免許を返納するべきではなかったのか」「家族は何をしていたのか。下手したら死亡事故を起こす可能性だってあった」「車がないと何も出来ない地区なのかもしれないけど、家族は絶対運転をさせるべきではなかった」と家族に怒りを浴びせるネットユーザーも出た。
高齢者による自動車死亡事故は多く、政府は免許返納を促しているが、交通網が整備されていない地域を中心に、なかなか進んでおらず、死亡事故やアクセルとブレーキを間違え、商業施設やコンビニエンスストアに車が突っ込むケースなどが相次いでいる。
2019年4月に、東京・池袋の路上で「予約していたフレンチレストランに遅れそうだった」という理由で、旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三氏(89)が運転する自動車が当時31歳の女性と3歳娘を轢き殺した事件が発生。飯塚氏が現在も逮捕されず、事故前と何ら変わらぬ生活していること、乗っていた自動車が「高齢者に優しくない」というような趣旨の発言をしたことに怒りの声が上がり、「高齢者の免許返納」を迫る声が強まっている。
その一方で、「高齢者だからといって免許を返納するのはおかしい」「しっかり技能テストを受ければ問題ない」「田舎で車に乗れなくては、死ねと言っているのと同然」とする声もあり、なかなか進んでいない状況だ。
92歳が自動車を運転し事故を起こした今回のケースは一見、「どこにでもある」ように思える。しかし、「身体能力の低下した高齢者が未だに車に乗っている」という事実は非常に恐ろしく、決して看過できるものではない。飯塚氏のような人物を二度と出さないためにも、厳しい措置が迫られているのではないだろうか。
文 櫻井哲夫