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北朝鮮 馬脚を現した金与正氏「南北軍事合意破棄」のヒステリー

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提供:週刊実話

 朝鮮半島に“金与正アラート”が鳴り響いた。6月4日、金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正党第1副部長が談話を発表し、韓国に亡命した脱北者らを「人間のくず」「ゴミのような雑種犬」と罵倒した上、韓国政府を暗示して「飼い主は責任を取れ」と要求した。

 与正氏は2019年2月にベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談後、しばらく姿を消していたが、今年3月、北朝鮮のミサイル発射実験に遺憾の意を表明した韓国の文在寅大統領府に向け、強烈なコメントを発表して表舞台に再登場。青瓦台(韓国大統領府)を「2歳児」「低脳な考え方」「完璧なバカ」と侮辱しまくり、“毒舌プリンセス”のあだ名を付けられた。

 今回もまたヒステリックな本領を発揮したわけだが、この発言の裏には、韓国内における左右対立の助長と日米からの離反を促す“下命”が見て取れる。

「彼女は4日、韓国の脱北民団体が定期的に行っている北側へのビラ散布を非難したのですが、特に“雑種犬”とまで罵倒した対象は、北朝鮮出身で韓国の野党政治家となった太永浩氏と池成浩氏でしょう。2人は正恩氏の重病説が流れた際に、それぞれ『99%死亡を確信』『立ち上がれない状態』と発言していたからです」(北朝鮮ウオッチャー)

 5日の夜には朝鮮労働党統一戦線部の報道官が、北朝鮮の開城にある南北共同連絡事務所を撤廃する考えを表明。これについては与正氏が先に、韓国当局が何らかの措置を取らない場合、’18年9月に締結した韓国との軍事合意を破棄する可能性があることを示唆しており、統一戦線部の追随は彼女が対南(韓国)分断工作の司令塔になった証しとみられている。

 一方の韓国政府は、4日の“与正アラート”からわずか4時間後、驚くべき速攻対応に出た。南北間の緊張を高める行為を防ぐため、「対北ビラ散布禁止法(仮称)」を制定すると迎合姿勢を表明し、まさに「プリンセスの仰せの通りにします」と頭を垂れたのだ。

 北朝鮮に対する文大統領の配慮は、それだけではない。6日、朝鮮戦争などの戦死者らを追悼する「顕忠日」の演説では、北朝鮮の侵攻について言及しなかった。そればかりか今回の顕忠日では、北の戦争行為である第2延坪海戦(’02年)と哨戒艦「天安」沈没事件(’10年)、および延坪島砲撃事件(’10年)に関連する遺族や生存者を追悼式出席者から除外していたのだ。結局、これを非難されるや同日午後に「職員のミスだった」と釈明し、代表的な遺族7人を遅まきながら式典に招待している。

「5月3日の朝も、北朝鮮は非武装地帯にある韓国軍の前方監視所に14・5ミリ機関銃(高射銃)を撃ち込みましたが、政府のみならず韓国国防省までもが、偶発的との見解を示しました。しかし、軍事専門家は『この銃器は複数の安全装置があるため、明らかに意図的な挑発で南北軍事合意違反』と政府や軍の対応を批判しています。ビラまき非難より、こちらの謝罪が先のはずですが…」(同)

 文政権は「北の戦闘行為より、脱北民によるビラまきのほうが危険」と判断しているわけで、その安全保障への認識は驚くばかりだが、北朝鮮と韓国は、まるで準備していたかのようなタイミングで、お互いの立場を表明している。その裏には何があるのか。

「問題提起をきっかけに、南北が接触を再開するという見方があるのは事実です。実際に’18年の板門店宣言では、『軍事境界線一帯で拡声器放送(北の体制批判)とビラまきを含むすべての敵対行為を中止する』と明示したわけですから、北朝鮮がそれを履行しろと要求する理由も分からなくはない。ただし、北側は南北対話再開という分析を『たわごと』と一蹴しており、今回のビラまき批判の真意がどこにあるのかは闇の中です」(国際ジャーナリスト)

 韓国の脱北民や活動家たちは、以前から人権侵害や核開発をめぐり正恩氏を批判するビラを大型風船にぶら下げ、軍事境界線に沿って飛ばしてきた。今年4月には脱北者の太氏と池氏が、国会議員に当選したことを知らせるビラ50万枚を飛ばしている。

「与正氏がビラ散布を憎むのは、過去に自分の出自まで明らかにされたからでしょう。彼女は金正日総書記の四女ですが、母親は愛人の一人で大阪・鶴橋生まれの在日コリアン、高容姫氏です。正恩氏も彼女の子どもですが、北朝鮮は帰国した在日コリアンを“動揺成分(階層)”と位置づけ、監視対象にしている。そのため、北朝鮮社会では正恩氏、与正氏の出自はタブーなのです」(同)

 ’18年2月に開かれた平昌冬季五輪では、高位級代表団の一員として韓国入りした与正氏の“微笑外交”が、北朝鮮の独裁政権に対する韓国人の警戒心を解いたと評判になった。青瓦台に与正氏のファンクラブができたほどだ。

 北朝鮮および朝鮮労働党の政治指針とされる主体思想(チュチェ思想)派が側近を固める文政権から見れば、北のプリンセスを崇拝することは当然とも言えるが、その微笑みの裏には好戦的な本性が見え隠れしている。

 北朝鮮は飛来するビラへの報復として、「われわれも南側が大いにくたびれることを準備している」と予告しており、今後も軍事的な挑発行為が先鋭化するのは避けられない。

 それでも文大統領は“忠犬”のままか。

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