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全国で頻発 巨大地震を引き起こす「地下深層部の異変」

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提供:週刊実話

 このところ日本各地で震度4クラスの中規模地震が頻発している。ざっとこんな具合だ――。

 5月17日夜、徳島県でM4.5、最大震度4を観測する地震があった。紀伊水道を震源とする震度4以上の地震は2019年3月13日以来で約1年ぶりのこと。その2日後には福島、宮城の両県でM5.3、震度4の地震が発生しているうえ、同日昼すぎには、岐阜県飛騨地方でM5.4、震度4の地震が起きたのだ。

 長野、岐阜の両県では4月下旬から群発地震が続き、4月23日には長野県中部でM5.5、震度4の強い揺れがあったばかり。なんとも不気味な現象である。

 日本の地下深くで何が起きているのか。武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が解説する。

「東日本大震災で日本の基盤岩が動き、地下がリセットされたんです。何しろ、宮城県の牡鹿半島は5メートル東にズレたほどでした。その影響は10年から10数年後に現れるので、長野・岐阜の群発地震はその影響だと思います。日本アルプスは太平洋プレートの、列島側プレートへの沈み込みに起因する東西圧縮の場となっていましてね。東西方向の圧縮力が、上への上昇力に転化して山地が上昇し、今でも高くなっています。群発地震の発生が登山シーズンでなかったことが不幸中の幸いでした」

 地震予知連絡会会長の山岡耕春・名古屋大教授によると、北アルプスは隆起に伴う変形などで地震活動が活発になることがあるという。現在の状態は1カ所で起きた地震の誘発地震が続いている状態で、「今後も最大で震度5弱程度の地震が起こり得る。建物が倒壊する揺れではないが、落下物や崖崩れ、落石には注意が必要」としている。

 東西圧縮の場では現在、2027年の開業(東京・品川―名古屋)を目指すリニア中央新幹線の工事が行われている。南アルプスの赤石山地には、大規模活断層の中央構造線と糸魚川―静岡構造線が南北方向に通っている。

「ひずみが溜まっているところにリニア新幹線のトンネルを掘るわけで、もし直下型の大地震が発生したら、大変なことになると思います。日本列島で震度4の地震がこれほど頻繁に発生したのは珍しい。そのこと自体、大地震が近いことを感じさせる。フィリピン海プレートの活性化に伴い、茨城県などでは立て続けに震度4の地震が続いている。震源が深かったりするため、揺れはそれほどでもなかったが、より10㎞、20㎞浅ければ、かなりの被害が出たかもしれない」(島村氏)

 一方、西に目を転じれば、熊本・阿蘇山の活動が活発化。中岳第一火口では5月16日朝から地下の熱水やマグマの動きを示すと考えられる火山性微動の振幅が次第に大きくなり、火山活動が危惧されているのだ。

 琉球大学理学部名誉教授の木村政昭氏が語る。

「日本列島は地震の活動期に入ったと思います。太平洋プレートのプレッシャーのため、あちこちで中規模地震が起こり、伊豆小笠原沖では巨大地震発生の可能性が高まっています」

 太平洋プレートのプレッシャーは阿蘇山を始めとして、鹿児島・桜島の爆発的噴火、霧島新燃岳や口永良部島の噴火まで誘発しているという。

 木村氏のブログを見ると、「地震の目」と言われる巨大地震に繋がる空白域が示されている。北海道沖、岩手沖、伊豆小笠原沖…そして日向灘沖(宮崎県東部沖合)、奄美大島沖(鹿児島)、八重山沖(沖縄)が要注意ポイントとして目を引く。

 とりわけ、伊豆小笠原沖の大きな空白域、これが将来の巨大地殻変動を引き起こすと考えられている。

「西之島(小笠原諸島にある無人の火山島)のすぐ東側に想定されている地震の目が成長し、そのプレッシャーによって西之島火山の地下に巨大な圧力がかかり、マグマの上昇を促進させた可能性がある」(木村氏)

 そして、西之島は今や標高160メートルを頂く火山島に成長した。木村氏はここを震源とする巨大地震が発生し、富士山噴火をも引き起こすと見ているのだ。

 北海道沖、岩手沖の空白域は千島海溝、日本海溝の巨大地震が起こりやすい場所に当たり、本誌もこれまで取り上げてきた。気になるのは、日向灘沖である。

「日向灘に地震の目ができるのは、フィリピン海プレートが押してくるため、エネルギーが凝縮されてひずみができ、その力が周辺に及ぶからです」(木村氏)

 この力によって、火山のマグマ溜まりが押されて噴火する。阿蘇山、霧島新燃岳、桜島、口永良部島などが次々と噴火しているのも、そのせいなのだ。プレートにかかるストレスはやがて解放される――つまり、溜まったひずみが限界に達して元に戻ろうと跳ね上がった時、巨大地震は起きる。

「南海トラフ地震が近くなると、西日本で直下型地震が発生します。紀伊水道の地震や能登半島で発生した震度5強(3月13日)の地震はその一つだと思います。首都直下地震にせよ、南海トラフ地震にせよ、いつ発生しても不思議ではない。そういう状況が続いていますね」(島村氏)

 東日本大震災から9年が経過した。そして、日本の地下はリセットされた。

「地下の息遣いが聞こえてくるようです。地震の活動期に入ったと言われるが、ただ、これは本番に向かっての序章にすぎない」(防災ジャーナリスト・渡辺実氏)

 日本列島の地下深層部はエネルギーが溜まっている。

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