エース・菅野智之に次ぐ2番手として獲得したエンジェル・サンチェスがジャイアンツ球場のブルペンに入ったのは、5月17日だった。練習後、「リリースのタイミングも良かった」と球団を介して手応えを語っていたが、その言葉の通りなら、期待を寄せる原辰徳監もひと安心だろう。
在阪メディアの一人がこう続ける。
「同日、阪神の新外国人投手のジョー・ガンケルもオンライン取材で好調さをアピールしていました。どの球団も外国人選手の調子が急激に良くなっています」
外国人投手に興味深い共通点があった。ウエイト・トレーニングだ。
「シーズン中、登板の有無に関わらず、軽くウエイト・トレーニングをやってから帰路につく日本人投手がたくさんいます。筋力アップというよりも、ひと汗かくのが目的で。汗をかくと、疲労感が残らないそうです」(プロ野球解説者)
外国人投手は、シーズン中のウエイト・トレーチングはほとんどやらない。オフシーズンに「レスラーか!?」と思うくらい、大量にやって、そこで蓄積されたパワーをシーズン中に吐き出すようなイメージだ。そして、またオフになったら、ガンガンにウエイト・トレーニングをやり、ゼロになったパワーを“補充”している。巨人・サンチェスもシーズン中のウエイト・トレーニングには重点を置いていない。
一部メディアでも伝えられていたが、サンチェスの練習はユニークな内容も多い。踏み出す左足付近にペットボトルを置き、足がぶつかったか否かで肘の高さをチェックしたり、通常よりも短い距離でピッチング練習をする時もあった。
このサンチェスがコケたら、巨人の連覇は相当苦しくなる。しかし、こんな情報も聞かれた。
「サンチェスはオープン戦3試合に投げ、釣瓶打ちにされました。日本のマウンド、ボールに適応できなかったためですが、ライバル球団は『逆に、データの取りようがない』とボヤいていました」(スポーツ紙記者)
ストレート勝負のできる速球派と紹介されているが、関係者は「本当は、低めのスライダーとカットボールが武器」と話していた。ライバル球団が集めたいとしていたデータは、この低めの変化球のことだろう。関係者の証言通りなら、サンチェスは「速球派=奪三振」ではなく、「変化球=ゴロアウトを量産」というピッチングスタイルなのかもしれない。
「ペナントレースの開催が決まっても、無観客試合は避けられないでしょう。その場合、通常シーズンのように、スコアラーを球場に入れてくれるのかどうか。スコアラーも球場に入れない可能性の方が高いと聞いているが…」(ライバル球団スタッフ)
データ不足を逆手に活躍する選手もいれば、対戦投手のデータ不足で打撃成績を大きく落とす選手も出るだろう。サンチェスは無観客試合をプラスにできそうだ。ひょっとしたら、巨人の弱点は先発投手陣ではなく、情報不足の打線になるのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)