昨年から台湾に進出している全日プロ。2年目となる今年は、年末恒例「世界最強タッグ決定リーグ戦」の開幕戦を行うなど、着実に“上積み”を重ねている。
武藤社長は「去年は伍佰(ウーバイ)の力を利用してだったけど、今年は自分たちの力だけだったからね。2日間を通しての総観客数は去年の2割増しだって聞いてるよ」と海外進出の手応えは十分だ。
アジア進出の基盤を築き、3年目となる来年はさらなる飛躍が期待される。かねて「海を越えるって非常に大変なこと。でも、来年は香港でも出来ればいいよな。それと台北だけじゃなく台南、高雄も行きたいよ」(武藤社長)とツアー化構想を口にしており、活動範囲は広がる。現在は年に一度の台湾巡業だが、年に2回への増加も検討されている。
今年は台湾だけでなく、国内でも長崎の五島列島を巡業するなど、全日プロの“新規開拓事業”は日に日に拡大中。これは武藤社長の「より多くの人にプロレスを見せたい。知ってもらいたい」という理念に基づいている。
それだけに全日プロが狙っている土壌は何もアジア圏だけではない。内田雅之取締役は年内にもグアム、サイパンなどを視察する予定で「すべて前向きに検討したい」と太平洋圏への進出も見据えている。
早ければ来年にも実現する可能性があり、成功させれば「全米進出」という夢も見えてくる。内田取締役は「1回やるだけでは意味がない。恒例化させないと。3年やったら定着したとみてもいいんじゃないの」と長期での契約を検討している。
すでに全米進出に先駆けてか、来年1月にはグレート・ムタがロサンゼルスにある団体に出場する予定だ。
それでも、武藤社長は台湾以外の海外進出について「ピン(ひとり)よりはアイツらと一緒に苦労を分かち合ってやりたいよな。(全日本プロレス)全体で行きたいってのはあるよ」と団体での進出を望んでいる。
アメリカ進出が実現すれば、武藤全日本にとって新たな“勲章”となる。テリトリー拡大へ着実に歩みを進めていく。
◎相棒・船木 21年ぶり“長州征伐”
武藤が船木誠勝との黄金連携で長州力&征矢学を下し、リーグ戦2連勝。開幕ダッシュに成功した。
21日の最強タッグ開幕戦でTARU&ジョー・ドーリングを破り、勢いに乗る武藤組。先発を買って出た船木は約21年ぶりに対戦する長州と一進一退の攻防を繰り広げた。リキラリアート、サソリ固めなど必殺技の応酬にも冷静に対処すると、武藤との連続串刺し攻撃で逆襲。
さらにソバットをたたき込むとひざ蹴り、バックドロップでたたみかけ、最後は三角絞めで征矢にトドメをさした。
船木との同期タッグで最高のスタートをきった武藤は「調子いいね。(船木は)青いオーラというか、炎が出てたよ」とパートナーを絶賛。
それでも船木は「今回は優勝しないといけないので、遊んでいられないですね。自分には時間がないので、優勝しないと次につながらない」と初出場初優勝に向けて気を引き締めていた。