発表によると、ここ数年はスポンサー収入の減少やファン離れが進み、同社の資金繰りが悪化。選手へのファイトマネーの支払いも滞っていたという。
これを受けて、同社社長で旧K-1元イベントプロデューサーの谷川貞治氏が、同日、4月5日以来、約1カ月ぶりに旧K-1のホームページを更新。「ファン並びに、関係者の皆さまへ」と題して、コメントを発表した。
谷川氏によると、4月10日頃に東京地裁より、破産手続き申し立ての通達があったという。訴えたのは、K-1にセーム・シュルトらの有力選手を派遣していたオランダの格闘技ジム・ゴールデングローリーを運営するノックアウト・インベストメント社(バス・ブーン代表)。ブーン代表は10年の「K-1 GP 決勝戦」、同年大みそか「Dynamite!!」の2大会のファイトマネー未払いが解消されていないため提訴した。
裁判はゴールデンウイーク(GW)前に2回に分けて行われ、裁判所から破産の命令が下った。GW明けには管財人が決定し、現在は破産手続きに入っている。今後、FEGは管財人の管轄となり、公正に資産と負債が整理され、債権者に通達されることになる。
谷川氏は「K-1のために、これまで頑張ってくれたファイターや競技役員の皆さん、業者の皆さん、そして何よりも共に最後まで汗を流した社員の皆さんには、取締役の代表として申し訳ない気持ちでいっぱいです。今の私には謝罪しかできませんが、今後の人生で、その数々のご恩に少しでも報いたいと思っています」と語っている。ホームページ上では、これが最後のメッセージとなるもよう。
すでに、「K-1」の商標権は香港のK-1グローバル・ホールディング・リミテッド社(金健一社長)に移行し、同社運営のもと、新生K-1はスタートを切っている。世界大会は5月27日、スペイン・マドリード大会を皮切りに、年内は米国、台北で全5大会を開催予定。
皮肉にも、新生K-1は旧体制の破産が明らかになった同日に会見を開き、元K-1 WORLD MAX覇者の魔裟斗が、エグゼクティブプロデューサーに就任したことを発表。魔裟斗はマッチメーク、選手の発掘、競技全般の統括を担う。魔裟斗は「K-1を建て直して、格闘技界がナメられている状況を変える。選手たちに舞台を提供して、夢をつなげていきたい」と所信表明した。
隆盛から没落へ。世界的にイメージダウンしたK-1ブランドを再建するのは、生半可な努力ではできないだろう。新生K-1の再建は魔裟斗の手に委ねられることになる。
(落合一郎)