自慢の末脚で「サマー2000シリーズ」の2代目王者へ突っ走る。夏は女の季節。それを地でいくサンレイジャスパーには、うれしい初夏の日差しだろう。
「体調はずっと高いレベルで安定している。何しろ夏場は強い馬だからね」と高橋成師は笑みを浮かべた。
その言葉を裏付けるように1週前追い切りも素晴らしかった。6日の栗東坂路で800m51秒6→37秒6→24秒6→12秒5。男勝りの均整の取れた馬体を鋭く回転させた。全体の時計を51秒台でまとめながら、勾配のきつくなるラスト2Fで25秒を切るのは至難の業。文句なし、絶好調とみていいだろう。
父ミスズシャルダン。偉大な種牡馬サンデーサイレンスが他界したとはいえ、今の日本の生産界は欧米が注目するほどの良血馬があふれている。そのなかで地味な血を受け継いだジャスパーの活躍はキラリと光る。
頭角を表したのは昨年の夏だった。格上挑戦したマーメイドSで2着すると、新潟記念、府中牝馬Sも2着。勝利にはあと一歩届かなかったが、末脚の切れ味は居並ぶ良血牝馬を圧倒する迫力だった。
今年に入ってからの成績はいまひとつだが、師は悲観していない。
「前走のヴィクトリアマイル(14着)は前残りの展開。馬群の中で身動きできず、まったく持ち味を生かせなかった。3走前の中山牝馬Sは道中から大外を回るロスが響いた。普通なら惨敗してしまうケースだけど、よく6着まできた。あのあたりが馬の能力。本当に惜しい内容ばかりだった」
かみ合わなくなった流れを食い止めるには、マーメイドSは絶好の舞台だ。しかも今年は追い込みの難しい京都の2000mから阪神にかわる。
「阪神なら展開のまぎれが少ない。距離もぴったりで条件はそろった。今年はサマー2000シリーズの優勝を視野に入れているからね。このレースで弾みをつけたい」
夏の女王に向け、一瞬で決める。