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ドラフト戦線異常アリ! 2014年のキーワードは「外れ1位」(東京ヤクルト編)

 即戦力投手を指名できなければ、来季も苦しいシーズンになるだろう。計算の立つ先発投手は、小川泰弘、石川雅規の2人だけ。館山昌平は右肘の再手術で一軍登板がなかった。昨年オフに右肩にメスを入れた(佐藤)由規も、二軍登板こそ果たしたが、終盤戦に再び違和感を訴えた。期待の新人・杉浦稔大も出遅れ、苦しい展開が続いた。
 ヤクルトのスカウト会議は10月8日に開かれた。鳥原公二チーフスカウトは「勝つために必要な投手を集める。競合は辞さず、良い投手を…」と力強く語っていたが、その直後、社会人の雄・竹下真吾投手(ヤマハ=24/左投左打)の名前が浮上。竹下も複数球団がマークする好投手ではあるが、「有原(航平)、安楽(智大)の指名競合で外れた場合を恐れ、確実路線に転じた」との声が支配的だ。

 ヤクルトは昨年オフ、トレード、FA補強を行わずにシーズンに突入した。外国人投手は獲得したが、ドラフト会議を『戦力補強の数少ない機会』と捉えている。
 「球団経営が厳しいと聞いています。補強費にまわす資金にも制限があって、動きたくても動けないのでしょう」(プロ野球解説者)

 だが、野手は順調に育っている。今季ブレイクした山田哲人(22)を筆頭に、(高井)雄平(30)、川端慎吾(27)、畠山和洋(32)が打率3割強をマークし、中村悠平(24)、飯原誉士(31)、森岡良介(30)も高い打率成績を残した。
 「谷内(亮太)、西浦(直亨)と2年連続で大学生内野手を指名しましたが、目立った活躍は見せていません。彼らは今後に期待するとして、チーム内に『野手は自前で育てた方が確実』の声が出ています」(関係者)
 野手での指名があるとすれば、高校生になりそうだ。

 同じく、近年のドラフト指名選手の活躍から考えると、社会人出身の投手に“助けられている”。13年は江村将也が31試合に登板し、今季は秋吉亮が奮闘した。秋吉の登板数61試合は、チーム最多だ。但し、もっとも熱心に見ていた社会人投手は、先の竹下。高木伴(NTT東日本/右投右打)、土肥寛昌(ホンダ鈴鹿/右投右打)は、「ストレートが速いだけではなく、重さもある」(在京球団スカウト)とのことで、今のヤクルト投手陣には少ないタイプ。江村は4位、昨年は指名最後を社会人捕手・藤井亮太で締めた(6位)。8日のスカウト会議後の「少ない(指名候補の)なかで、勝つために…」と、例年よりも指名選手が多くなることも示唆していた。近年、下位で20代半ばの社会人選手を指名するやり方からして、その指名枠を広げるという意味にも取れるが…。

 ヤクルトも有原航平(早大)、安楽智大(済美高)、山崎康晃(亜大)、石田健大(法大)を1位候補としている。好投手・鈴木優(雪谷高)のもとにも熱心に足を運んでいた。
 ヤクルトには、他球団も一目置く若手スカウトがいた。来季、二軍打撃コーチに配置換えとなる斉藤宜之氏だ。小川泰弘に早くから目をつけていたという。その斉藤スカウトの“置き土産”があるとしたら、島袋洋奨(中大)かもしれない。甲子園を沸かせた左腕は大学球界で苦しんだが、「もっとスピードが出るはず」と“プロ入り後の伸びしろ”を語っていた。他球団は大学球界での成績がイマイチなので、プロ入り後の成長に期待して上位指名してくるのではないだろうか。

 他に高校野手は、宗佑麿(横浜隼人)、脇本直人(健大高崎)、浅間大基(横浜高)。影響力を持つスカウトの1人、羅本新二氏は、植田海(近江高)の守備センスを絶賛していたそうだ。同スカウトが社会人・本田技研の出身ということも考えると、同社(現ホンダ鈴鹿)で、主にリリーバーとして活躍してきた守屋功輝(21=右投右打)の指名も予想できるが…。
 編成を統括する新純生・球団専務が、今年6月、田中英祐(京大)を直接取材したとの情報もある。ヤクルト関係者に田中の話を振ると、「大学がどこというのは関係なく…」と返してくる。『同リーグでナンバー1投手』というのが他球団を含めた田中評だ。しかし、「大学ウンヌン」と返答するのは、すでに他地区の好投手との比較も終えているからだろう。色々な意味で、ヤクルトのドラフトは異質なものになりそうだ。

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