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ボクシング WBCフェザー級新王者の粟生に待ち受けるイバラ防衛ロード

 WBC世界フェザー級タイトルマッチが12日、東京・後楽園ホールで行われ、世界再挑戦となった粟生隆寛(帝拳)が王者オスカー・ラリオス(メキシコ)を撃破。リマッチを制し、新チャンピオンになった。憧れの世界王者となった粟生だが、防衛ロードはイバラの道となりそうだ。また、兵庫・神戸ワールド記念ホールで行われたWBCバンタム級タイトルマッチは、王者の長谷川穂積(真正)が圧巻の1R勝利でV8を達成した。

 粟生が憧れ続けたベルトを巻いた。
 昨年10月、王者ラリオスに初挑戦したが判定で惜敗。プロ初黒星を喫した。だが、試合内容が評価され再戦が決定。「次はない」と不退転の決意で臨んだ。
 母から「高貴な王者を目指せ」と激励され、粟生が高貴なイメージという紫色のトランクスで臨んだ。「相手のジャブをセオリーでは外側に交わすものなんですけど、あえて内側にかわしていった」。幻惑戦法で序盤から王者を翻ろうした。
 さらにワンツーと左ボディーを有効に使い主導権を握うと、終始ペースを握り続けた。これまで対日本人全勝と“日本人キラー”のラリオスから、最終12Rにはダウンも奪った。フルラウンドを戦い抜き、判定3-0で雪辱を果たした。

 世界チャンピオンになることは小学生の頃からの夢だった。「(ベルトは)重いですね。めちゃくちゃ格好いい。(元ボクサーの)親父の夢でもあったんで、こみあげるものがありました」。リング上では判定結果が出る前から、勝利を確信して人目もはばからずに号泣した。
 悲願の王座戴冠を果たした粟生には、追う側から追われる側へと立場が代わったことで、険しい道が待ち受けている。
 帝拳プロモーションの浜田剛史代表は、今後について「会長と相談したうえで、いろんなパターンがあると思う」と話し、「まずはラリオス側がどういう反応をするのか。ラリオスじゃなくても次から次にいる。世界ランカー10位まで(と対戦するとしたら)みんなに対応できるボクサーにならないといけない。やりやすい相手とやっても仕方がない。(選択が可能なら)強い相手を選んでやっていく」

 帝拳ジムの本田明彦会長は「(初)防衛戦は指名試合になると思う」と話した。時期は未定だが、同級1位のエリオ・ロハスとの対戦が有力だ。
 新王者となった粟生は試練の道が待ち受けるが、逆境を跳ね返して防衛を重ねていくことができるか。

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