上がり馬の勢いをまざまざと見せつけた。秋の東京競馬の“名物ハンデ重賞”は2番人気のアドマイヤジュピタが、追いすがるトウカイトリックを4分の3馬身退けて快勝した。勝ち時計は2分30秒9(良)。
道中はインで3番手をキープ。直線で仕掛けられると鋭く反応し、脚色はゴールまで衰えることはなかった。初コンビを組んだ村田騎手の第一声は「ゴール板をすぎるまでヒヤヒヤしました」。というのも、「抜け出してから、遊び遊び走っていた」ため。それでいて、これが重賞初挑戦とは思えないほどの強さ。粗削りな面を随所に見せながらの勝利は、まさに大物と呼ぶにふさわしい。
「初めてのコンビだったけど、過去のレースVTRとかは見ていました。返し馬に乗った時点で『走る馬だなぁ』と思ったけど、レースでは思っていた以上に強かったです」と興奮気味に話した。
3歳時はクラシックが始まる直前に飛節を骨折し、長期休養を余儀なくされた。1年5カ月のブランクを経て今夏に復帰後は順調に階段を駆け上がってきたが、「まだ脚元にボルトが入っている」と明かした友道師。ジュピタにかかわったすべてのスタッフの苦労が結実した勝利に、「ここにきて馬が自信を持って走れるようになってきました。ようやく重賞を勝てました」と感慨もひとしおだ。
今後については「まだ白紙の状態。当初から期待していた馬で、これまで大事に使ってきたし、来年にも楽しみをとっておきたいですから」とトレーナー。あの勝ちっぷりなら、どこに出走してきても上位をにぎわせてくれるに違いない。