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神戸新聞杯 変則3冠を目指すディープスカイがいよいよ復帰

 前人未到の領域へ、いよいよ発進だ。変則2冠馬のディープスカイが「第56回神戸新聞杯」(JpnII、阪神芝2400メートル、28日)から始動する。夏場の充電を終え、ひと回りパワーアップした3歳王者は、理想的な状態に仕上がってきた。この先、菊花賞へ向かうのか、それとも天皇賞・秋で古馬に挑戦するのか。すべてはここの内容、勝ち方にかかっている。まだどの馬も成し遂げていないマイルから3000メートルまでの「変則3冠」へ自信を持って踏み出すためにも、重要なステップになる。
 余計なことはしなくてもいい。馬が勝手にスイッチを入れ、闘志をむき出しにしてくれる。そんなしびれるような感触が戻ってきた。四位騎手ははっきり感じ取った。
 「近くに馬がいるとそれに負けまいと自らハミを取っていく。いいころの気配が漂ってきたね」と静かにうなずいた。

 ディープスカイがいよいよ戦闘モードに突入だ。18日の栗東DWコース。格下のヒルノラディアン(3歳1000万)を先行させ、それを見ながら徐々に間合いを詰めていった。そして直線、軽く仕掛けられると軽々と抜き去った。未明から降り続いた雨に馬場はかなりぬかるんでいたが、そんなこともお構いなしだった。馬体にも無駄がなく、ただ硬質で厚みのある筋肉が雨粒を弾いていた。
 6F80秒0、ラスト1Fは12秒3という鋭さ。「相手が走る馬じゃなかったのでああいう形を取った。ラストはサッといい感じで抜き去ってくれたね」。そう語る四位には不安なことがひとつあった。札幌でまたがったとき、感触がやや物足りなかったのだ。だが、もう心配ない。「なんだかまだ牧場にいると勘違いしているような…だけどトレセンに帰ってきてピリッとしたね。さすが」と笑みを浮かべた。
 NHKマイルCを制し、その勢いでダービーもぶっこ抜いた。史上2頭目の変則2冠馬として春に確固たる王者の地位を築いた。だが、この秋もキーワードは挑戦。守りに入っている暇はない。道は2つだ。菊花賞で前人未到の変則3冠に挑むか、天皇賞で古馬に挑むか。どちらも魅力的な選択肢ではあるが、やはりマイルから3000メートルまでのGIを勝つという離れ業を見てみたい。
 四位は言う。「変則2冠馬が秋も活躍した例はないから」。先輩のキングカメハメハはこの神戸新聞杯を勝った後、屈腱炎に倒れ、引退を余儀なくされた。だからこの言葉に力を込めた。「とにかく無事にいってほしい。そうすれば…」。無事に走り、そして距離への不安を払拭すれば、その先にはだれの蹄跡もない。

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