「山の気」「山の化」とも呼ばれ、”山のモノノケ”を省略した呼称ではないかとも言われている。
この魔物は、人間に憑依して”性的な快楽”をむさぼると言われている。一般的に性的な快感は男性よりも女性の方が強いことから、女性に憑依すると言われている。人体に入り込む憑き物ではあるが、憑依した姿を目撃したという事例もあるようだ。
その姿は全身が異様に白く、意味不明な言葉を繰り返しつぶやきながら、一本足で跳ね回りながら憑依するターゲットを探すという。胸部に顔を埋め込んだような異形であるとも、頭部がない首なし人間とも言われている。
一説によると「ヤマノケ」は昔、飢饉に見舞われ、両親に食われた女の子が魔物と化したものだという。「ヤマノケ」が片足であるのは、その時に足を食われたからだそうだ。親に食われて絶命した娘の霊は、その怨念から「ヤマノケ」となり、幸せに生きている現代の女性に憑依してしまうというのだ。
「ヤマノケ」に憑依された娘は、ひたすら自慰を繰り返す。その女性の肉体が死ぬまでずっと永遠に自慰を続けるという。「ヤマノケ」は快感が好きな一方で、肉体に及ばされる苦痛には弱く、手の爪をはがされると憑依した状態から抜ける場合もある。中にはそれでも抜けない「ヤマノケ」もおり、最終的には妊娠させ出産させないと憑依状態から脱することはできないとも言われている。
ヤマノケの話はネットを中心に広まったもので、伝統的な妖怪伝説にはない特徴が話の要所要所に散りばめられている。伝統的な妖怪伝説をもとに作られた「都市伝説の妖怪」と考えるのがいいだろう。
(山口敏太郎)