逮捕容疑は09年6月、都内の人材紹介会社に対し、実在する山梨県内の眼科医の名前と「山梨医科大医学部医学科卒業」とウソの申告をして医師登録。同社の斡旋で、10〜11年、偽造の医師免許証のコピーを同病院に提出し、健康診断を行い、その報酬として現金計262万円をだまし取った疑い。黒木容疑者は同病院で2363人の健康診断を受け持った。
警視庁生活環境課によると、黒木容疑者は容疑を認め、「子どもの教育費や交際費、生活費がほしかった。独学で看護師の知識は得たが、診療は自信がなく、健診ならできると思った」などと供述。インターネットで同姓の医師を見つけ名前を使っていたという。
黒木容疑者は同病院の他、長野、神奈川など十数カ所で健診をしていたとみられ、長野県の病院は県警に被害を相談。警視庁と長野県警は実態解明を急ぐ。
自称医師を名乗りながらも、医療現場としては横浜市内の病院で事務の経験が3カ月あっただけで、独学で看護師の知識を得たという。
世田谷区のアパートで、妻と小学生の娘と暮らしていたが、問題発覚後は行方をくらまし、横浜市の短期賃貸マンションに移っていた。24日朝、警視庁の呼び出しに応じ、東京・鎌田の路上に出頭し逮捕された。
この問題を受けて、厚生労働省は全国の都道府県に、医師免許の原本などで医師本人の確認を徹底するよう通知する。
(蔵元英二)