ここ数年の吉本は、本業の“笑い”とは違う事業に進出している。
「吉本は、2013年に設立された官民ファンド『クールジャパン機構』から2014年、2018年の2回に渡って計22億円の融資を受け、他の事業に投資しているんです。同ファンドに政府は約586億円出資している。今年4月には、NTTグループと組んで教育関連のコンテンツを配信する『ラファンドピースマザー』を立ち上げている」(IT関係者)
吉本が教育界に進出するプラットフォームには『クールジャパン機構』が最大で100億円を段階的に投資することを決めている。官民ファンドの融資を受けた吉本は、安倍首相と芸人の会食をセッティングするなど、政権側にべったり。
4月に行われた衆院大阪12区補欠選挙。投票日前日の20日、安倍首相はG20大阪サミットのピーアールで、吉本新喜劇の舞台にサプライズ登場した。
「ファンからは“吉本新喜劇を政治利用するな”と批判の声が上がったんです。にもかかわらず、6月6日には西川きよしを筆頭とした新喜劇芸人らを首相官邸に表敬訪問させた。一部与党と野党は冷ややかな視線を送っていました」(政界関係者)
さらに、6月20日に開かれた沖縄米軍跡地利用を検討する有識者懇談会に大﨑会長がメンバーとして出席。「吉本は沖縄カジノ利権を狙っている」という噂も飛び交っている。
「吉本はソーシャルビジネスを展開する新会社『ユヌス・よしもとソーシャルアクション』を昨年2月に設立している。ソーシャルビジネスとは利益の追求ではなく、環境、貧困など社会問題の解決を目的としており、経済的に自立できるよう支援するという長期で地域社会に貢献するのが目的。芸人のマネジメントと関係あるとは思えませんよ」(前出・元吉本社員)
さらに、吉本は貧困や格差など世界が抱える課題の解消を目指して、国連が設けている持続可能な開発目標『SDGs』推進にも取り組んでいる。
「売れない芸人からは“社会貢献もええけど、俺らの生活も保障してくれ”と言う悲痛な声が上がってますよ」(在阪のお笑い関係者)
元吉本お笑い芸人の話。
「大﨑会長や岡本社長は自ら手掛ける公的ビジネスに酔って、所属芸人をないがしろにしてきた。公正取引委員会から所属タレントとの契約問題を指摘されると、“契約書を交わす”と掌返し。これでは芸人との信頼関係は回復できません」
元吉本社員が続ける。
「芸人から信頼を失った岡本社長は早晩、責任をとって辞任するでしょう。代わって吉本の釈明会見で男を上げた藤原寛副社長が社長昇格。藤原氏は芸人からも人望がありますからね。これが一連の騒動の着地点になると思います」
吉本ならぬ、安倍新喜劇。