先日、北海道札幌に行ったときも、すすきの店を探すのに、キャバクラのポータルサイトを利用しました。そこからお店のホームページに行き、システムなどを確認してから、お店に向かいました。iPhoneのアプリ「Googleマップ」に住所を入れて、いざ出発。
それにしても、「Googleマップ」が示した場所に行っても、お目当ての店が見つかりません。うろうろしていると、客引きに声をかけられました。私が特定の店を探している旨を伝えると、
「あ、そこの店なら、この通りの裏だよ」
地図では、わかりづらかったのですが、どうやら、入り口が違っていたようなのです。
「案内しますよ」
と言われ、客引きがついてきました。すると、途中で、客引きが私を止めました。
「お客さん、なんでその店なんですか?指名の子でもいるんですか?」
「いえ、違いますよ」
「じゃあ、○○○のほうがいいですよ。料金はあまり変わりませんが、ぶっちゃけ、○○○のほうがかわいい子が多いし、どうですか?」
「きょうは、お目当ての店に行きたいので、いいですよ」
「料金安くしてもだめですか?」
などのやりとりがありました。
客引きとの交渉は慣れていないわけではないのですが、私は、すすきのでは、客引きで「当たり」と思ったことがなかったのです。そのため、いつも案内所かサイト、または人の紹介で行っていました。
とは言っても、「当たり」かどうかは主観的な問題です。誠意がある客引きもいると思いますので、そうした客引きに「当たらない」という私の運の問題かもしれない。短時間で、いろんなことを考えました。
「どうしますか?」
ファイナルアンサーな状況でした。そこで最終的に、サイトの内容を信用するか、客引きの言葉を信用するのか、といったことです。もちろん、料金のことはどちらも本当なのでしょう。サイトで嘘は言えないし、最近は厳しいので客引きもそれほど大きな嘘は言えない。あやしかったら、窓口で確認すればいい。問題は、私好みの女性が店にいるのか? ということです。
私の頭の中でちょっとした計算をしました。サイトに表示されている女の子も、客引きが案内する店の前にある写真も修正されているはず。そこで、ある程度、補正を外したイメージを頭に浮かべました。
結果的に、私は、客引きが案内した店を選択しました。この行為のどちらが正しかったのかは、私が店から出てくる時に判断できるが、両方を比べることもできない。だから、私の運がいいのか悪いかなのです。
システムを窓口で確認し、店に入りました。すると、嬢が着きました。結論から言えば、「はずれ」だったのです。なぜかといえば、見た目の問題も私が期待するものではなかったのですが、問題はそこではありません。ほとんど会話が成立しないのです。
見た目問題は、サイトで選んだ店に行っても、サイトに出ていた写真そのままの子がいる確率は低いですし、見た目を期待していくと外れることが多いと経験的に感じていました。だから、初めて行く店に関しては、見た目の前評判は気にしません。
やはり、笑顔がない、会話がない、接客が機械的といった、やる気のなさを感じてしまったのです。その子だけが「はずれ」だったのなら、まあ、そんな子もいるだろうし、新人かもしれないよな、って思えます。しかし、他の子も似たようなものでした。
客引きの案内する店を選択した私の間違いでした。もちろん、サイトで探した店に行ったとしても「はずれ」かもしれません。しかし、同じ「はずれ」だったとしても、最初から「私が選んだ店だ!」と納得の度合いが違ったかもしれません。
<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。
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