90年代から続く西高東低。その間、菊花賞を制する関東馬もいたが、主役はあくまでも“西の馬”だった。それが証拠に、関東馬で1番人気に支持されたのは、1990年のメジロライアンまでさかのぼる。あれから17年、ようやく東から菊の主役が現れようとしている。それがロックドゥカンブだ。
南半球産馬で遅生まれというハンデを乗り越え、デビュー以来、破竹の4連勝で駒を進めてきた。堀師はいう。「どこまで強くなるのか、今の段階ではなんともいえません。でも、10年に1度の馬かもしれないという気持ちもあります」
手綱を取る柴山騎手も同じ気持ちだ。「乗った感じがほかの馬とは違う。いいクッションがあって、重量感もあるし…ひと言でいえばすべての面でいいんです」
前走・セントライト記念については「中京のとき(騎乗は安藤勝騎手)は馬込みに入ったら下がっていったけど、そこから突き放しましたから。収穫のあるレースでした」と確かな成長を感じている。
京都三千は馬だけでなく“人”も初めてになるが、「ゲートがいいんで5、6番手くらいからの競馬になると思う。ムキになるところがないから距離は大丈夫。初めてだからといって気負っても仕方ないし、何よりそれでは馬に申し訳ないですから。馬のリズムに合わせて流れに乗れれば」と自然体で臨む。
「注文が一切つかない馬」揺るぎない信頼を胸に、人馬一体となって菊の大輪をつかみ獲る。
【最終追いVTR】柴山騎手を背にWコースで追われ、5F67秒3、上がり3F36秒1→12秒8(G追う)。3角すぎから3頭併せの真ん中に入って迎えた直線、鞍上の軽い仕掛けに瞬時に反応し、内外2頭を置き去りにした。文句なしの仕上がりだ。