「前走は前が止まらない流れになったのが影響した。それに加えて休養明けもこたえた」と村山助手は敗因を振り返る。
決して力負けではない。鞍上の四位も同じ気持ちだ。
「道中で我慢してスパートする競馬はできた。ただ、内回りだった分、ちょっと差し届かなかっただけ」
その“ちょっと”の差を埋めるのには十分すぎるほどの体調面での上積みがある。1週前追いではCWコースで5F65秒2をマーク。3頭併せで最先着を果たした。
「1回使って馬体にも張りが出てきた。気配は確実に上向いている。少なくとも秋華賞以上。あとはこのまま、いい感じの体調を維持していくだけ」
舞台は京都外回り2200m。今度のステージで必要なものはスピードよりも“切れ”だ。それはアドマイヤグルーヴ、ファインモーション、メジロドーベルなど、過去、頂点を極めた名牝たちの足跡が何より証明している。
「ダービーを勝っているわけだし、距離延長はとくに問題ないでしょう。鞍上も手の内に入れているわけだしね。初の古馬相手でも間違いなく、いい勝負をしてくれるはず」
歴史を塗りかえたあの豪脚さえ復活すれば…ダービー馬の意地にかけても、今度こそダイワスカーレットを沈黙させる。