超良血馬がいよいよ軌道に乗ってきた。アディアフォーンが2歳女王の座を視界にとらえた。
確勝を期した前走の平場500万戦をV。「予定通りだったね。欲をいえばもう少し引き離して勝ってほしかったけど、追ってしっかり伸びてくれたし、着差以上に内容は良かった」と橋口調教師は振り返った。
追い出してからなかなか加速しない。じれったいほどのレースぶりだったが、ひとたびエンジンがかかると、実に息の長い末脚を発揮。牡馬相手にしっかり勝つあたり、さすがは名血だ。
母はGI3勝の名牝ファレノプシス。ここまで目立った活躍馬を出せずにいたが、ようやく自慢の孝行娘ができた。
ここまでキャリア5戦とオープン入りまで時間がかかったのも血統が影響している。母は桜花賞を制しているが、引退レースのエリザベス女王杯を勝っているようにブライアンズタイム産駒らしい成長力を持っていた。一方、アディアの父も晩成型のダンスインザダーク。母以上の伸びしろがあるはずだ。
馬体重ひとつとっても、それははっきり表れている。「一戦ごとに体が増えて前走は初戦より16キロも増えていた。たいていの牝馬は使えば減るものだけど、これだけふっくらすればケイコもやりやすい。手加減しながらだったルミナスハーバー(2006年、3着)を思えば、ホント、助かるよ」と師は笑みを浮かべた。
最大の夢はもちろん、来春の桜花賞母子制覇だ。しかし、その前に、母も取っていない2歳女王を足がかりにしたい。
「スピード任せじゃないから、距離延長も外回りもプラス。怖いのはブエナビスタぐらい。あとは大丈夫だよ」
ジャッジが的確で知られる名トレーナーの口から、頼もしい言葉が聞こえてきた。
【最終追いVTR】小牧騎手が乗って、併せ馬を敢行。直線の追い比べでブルーモーリシャス(2歳未勝利)相手に2馬身先着を果たした。切れる印象はないものの、追ってからしっかりと伸びていて、長くいい脚が使えるタイプだ。