そのひとつとしてhideと音楽を作り続けてきたプロデューサーI.N.A.が書籍「君のいない世界 〜hideと過ごした2486日間の軌跡〜」を4月28日に出版する。hideとの逸話やメモリアルプロジェクトについて、I.N.A.にお話しをうかがった。
――「君のいない世界」を書くことになったのは、メモリアルプロジェクトがきっかけ?
I.N.A.(以下I):プロジェクトの始動が決まる前に、「hideが永眠して20年ですので、書きませんか」と、出版社からお話しをいただいて。今まで語られなかったhideの音楽制作のことを、ファンの方に伝えたいと思いながら書きました。
もし、10年前にこのお話をいただいていても、そのときはまだ書けなかった。20年経つ今だから書けたものです。30年経っちゃうと、ヨボヨボして書けなくなってそうだし(笑)
――Twitterで「悲しくなる本ではない」と投稿していた通り、悲劇的な本にはしたくなかった?
I:悲しませるものを書いても意味がないと思ったので。hideのファン層って本当に幅広くて、今では上は60代、下は子どもや孫世代まで広がっているんです。みんなが本を読みながら情景を思い浮かべてくれたら嬉しいですね。特に30〜40代のファンの方たちには、自分の青春時代と重ねて読んでもらいたいな。
――お酒に酔ったhideさんの「ヒデラ」のエピソードが印象的。それでもI.N.A.さんがhideさんと一緒に居続けられたのは、やっぱりウマが合っていた?
I:いやあ、どうだろう。僕は途中から「ヒデラ」のときには近づかないようにしていましたから(笑)なんであんな風になっちゃうんだろうっていうのは、本当に不思議でした。二面性がね、すごいんですよ。それは人間性だけじゃなくて、音楽性にも表れていました。
松本秀人の理想のロックスター像が“hide”だったんでしょう。公の場ではずっとhideだったので、素を知っている人はほとんどいないんじゃないかな。僕は松本秀人とも一緒にいたんだと思う。それに気づいたから、「ヒデラ」になるリスクがあるhideのときにはあまり近寄らないようにしていたんです。本に書いた“ヒデラエピソード”なんて、かわいいものですからね(笑)
それでも一緒に居続けられたのは……ウマがよかったと言えるのかなあ。友達でもないし、仕事仲間という感じでもないし。本当にほとんどの時間を一緒に過ごしていたんですよね。空気みたいな感じですかね。
――夫婦に近い?
I:まさにそんな感じだったんだと思います。マッチングが良かったんじゃないかなあ。
――5月26日にドキュメンタリー映画「HURRY GO ROUND」が公開されますが?
I:僕も出演しているんですが、この映画の撮影で、びっくりするような奇跡がありまして。この衝撃をどう表現していいのかわからないくらい。あっちの世界に行った人って、やっぱり僕らを見てるんじゃないかなあ。みんな、本当に驚くと思います。でも、ごめんなさい、まだここまでしか言えません(笑)
――本・映画、そしてライブも開催する。
I:4月28、29日(土、日)と、2日間開催します。hideのライブって、2DAYSやるときは、いつも内容を変えていたんですね。その「hideイズム」を継承して、今回もセットリストを変えて、両日来てくれるファンの方も楽しめる内容になっています。
(インタビュー終わり)
二面性どころではなく、多くの顔を持っていたhide。素顔を知るI.N.A.だからこそ伝えられる真実を聞くと、きっと誰もが驚くはずだ。ファンだった人も、同じ時代を生きた人も、“伝説”として後に知った人も、このメモリアルイヤーに書籍を読めば大いに盛り上がることだろう。
<プロフィール>
I.N.A.(イナ)(hide with Spread Beaver)
hideの共同プロデューサー&プログラマー、X JAPANのサポートメンバーとして、日本のロック界を裏側から支えてきた音楽プロデューサー。様々なアーティストへ唯一無二のサウンドを提供するかたわら、IID 世田谷ものづくり学校にスタジオを構え、音楽ワークショップ「電脳音楽塾」を展開中。
INA OFFICIAL WEB SITE : http://www.AREA014.com/
電脳音楽塾 : http://www.pinxrecords.com/