延長10回裏は、絶対的な守護神・藤川球児(30)を投入すべきだったのではないだろうか−−。試合後、真弓采配に対する賛否が聞かれた。投手交代に“迷い”が見られたのは、延長10回裏の中日の攻撃中だった。阪神、中日ともに無得点のまま延長に突入。今季は「3時間30分を経過したら、新しいイニングには入らない」ルールになっている。このとき、試合経過時間は、3時間15分といったところだった。
「11回の表の攻撃に入れるのかどうか、微妙なところですよね」
ネット裏のプロ野球解説者、マスコミ各社が声を揃える。
阪神は8回に久保田智之(30)、9回には小林宏(32)を送り込んでいる。そして、「0対0」で迎えた延長10回裏、真弓監督は守護神・藤川ではなく、オープン戦好調だった福原忍(34)をコールした。
「11回表の攻撃があると判断したようです。11回裏の中日の攻撃に藤川を出そうとしたようですね」(プロ野球解説者)
このまま引き下がるような中日打線ではなかった。福原が二死を取った後、四球を与えてしまう。次打者は4番・和田一浩(38)。落合博満監督(57)は代走・英智を送り、勝負を掛けてきた。この時点での試合経過時間は、3時間20分強。11回の攻防に入れるかどうか、ますます“微妙”になってきた。
一般論として、真弓監督がここで「投手交代」を告げていれば、救援ウォーミングアップで11回表の阪神の攻撃は消滅していただろう。
真弓監督は福原続投を選択した。「11回表の攻撃」を引き込もうとしたのだろう。しかし、その福原が和田に二塁打を献上…。阪神はサヨナラ負けを喫した。
「この中日との3連戦は後味の悪い結末となってしまいました。初戦は金本の代打での打席を完了できず、守備にも付かせませんでしたので『連続試合出場』の記録がストップしてしまいました。第3戦に先発した下柳は7イニングを投げ、『0点』に抑えきったのに勝利投手に導いてやることが出来ませんでした」(関係者)
チームの雰囲気も、重苦しいものに変わってしまったようである。
試合後の囲み会見で、真弓監督は「(和田に)ヒットが出たら、藤川を投入するつもりだった」とも吐露している。その通りだとすれば、投手交代のタイミングを見誤ったことになり、和田を迎えた場面で「延長11回の攻防はナシ」と判断していたわけだ。
投手交代のタイミングは結果論でしかないが、こんな目撃談も聞かれた。
「試合後の真弓監督は苛立っていました。感情を表に出さないタイプなので、非常に珍しいことです」(前出・同)
3時間30分のルールは、絶対的なクローザーを持つ阪神にとって、有利に展開すると思われてきた。だが、絶対的なストッパーのいるチームは、「むしろ、継投のタイミングが酷評されやすい」ことも分かった。真弓監督にとって、気苦労の耐えない1年になりそうだ。